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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
入学編 ~特別試験~
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第28話

「新庄君、この体育館の状況はどういうことなのかな?」

俺に声をかけてきたのは君島だった。先ほど体育館に入ったときから気になっていたのだが、やはり彼らは今戻ってきたということだった。だから彼らは先ほどの鮫島先生の言葉を知らない。そのことを伝えるかどうか悩んだが、遅かった彼らが悪いということで適当に誤魔化すことにした。さらに、あの時は逃げるようにいなくなったわけだ、そこまで情報を与えてやる義理もないだろう。

「さぁな。提出のための時間もないだろ?急いだらどうだ?」

俺は提出を促すだけにとどめた

「そうだね、時間もないしまた後で。」

彼は時間を確認してそれだけ言うとクラスメイトを引き連れて最後尾に向かった。

「よかったのか、蒼?」

「何がだ?」

「いや、説明してやらなくてよかったのかってことだよ。」

「そのことか。」はっきり言ってしまえばそこまでの義理もないだろう?それにバス停であったときもこちらの事情を考えず言いたいことを言ってなぁなぁにして去っていっただろう?そういうやつも信用できないからこれでいいんだ、あまり関わる気はない。」

「けど、彼、また後でって言ってたわよ?関わらないでいられるとは思わないわよ。」

「その時はまた後で考えるさ。」

その後も俺たちは適当に会話をしながら待っていた。



6時になると、職員の人が再び出てきて、

「試験終了時刻となりました。先ほど別途用紙を配布された方はこちらにまとめて提出をお願いします。それ以外の並んでいる人はこちらへ提出をお願いします。」

と言い、二種類の箱を用意して並んでいる人たちへ提出を呼び掛けた。やはり箱が二種類あるということは先ほど言っていた評価がさらに厳しくされることが予想できた。

そのアナウンスに従って並んでいた生徒は用紙を提出した。それが終わるまでに多少の時間を要したが、今回は特に何も抗議の声が上がることなく済んだ。それからテント内が少し慌ただしそうにしていたが、10分ほど待つと教員たちがテントから出てきた。



鮫島先生が再び司会として壇上に上がり集会を始めた。

「試験終了だ。まずはご苦労だったな。これから学年集会及び、入学式で話さなかった説明の続きを話す。よく聞いてくれ。月宮先生、試験についての総評をお願いします。」

そんな挨拶から集会は始まった。そして、鮫島先生から月宮先生へと変わると、

「みな、私からも改めてご苦労だったな、新入生特別試験はこれで終わった。各々言いたいことはあるだろうがまずはこちらの話を聞いてもらおう。まずこの試験が何を目的としていたのか話そう。この試験の第一の目的は一人で攻略できない試験、とりわけ異性の協力が必要だという状況でしっかりと相手と協力できるかということを確認させてもらった。これは相棒制度ともかかわることだからな。こちらもある程度その点を考慮して行われている。そして、簡単なものから頭を使う問題を絡めることで中学卒業程度の学力、及び、何かしら予習をしているか、という確認をしている。」

俺はそれを聞くと、問題が高校で習う歴史の用語であったり、古文で書かれていたりしたことの意味が分かった。中学のカリキュラムでもある程度学習はしてもそこまで掘り下げたことは行わない。だから、知っている者と知らない者とで差が出てしまう問題であったということだ。

「そして、学力とは違った柔軟性を必要とした問題は学力がたければいいというわけではないことを示している。発想力と学力、どちらも身につけろということだ。そして、こちらはおまけ程度だがこの島の構造を2日である程度でいいから覚えろということだ。学園の敷地内のスタンプを押させる問題がどのクラスもあったはずだ。それはこちらでわざわざ学内の案内をするつもりがないから、この試験で場所を覚えやすくするための配慮だ。」

これを聞いてなるほど、と思ってしまった。確かにオリエンテーリングであれば自然な流れで島のある程度の区域がどうなっているかを自分たちで確認するだろう。また、学園内もそうだ、全ての施設が一ヵ所に集まっているわけではなく独立した建物もあるこの学園は大学のキャンパスを彷彿とさせるものがある。過去に何度かお笹なじみに連れられて大学の学園祭を観に行ったことを思い出した。当時もあちこちにある建物に対し迷子にならないように気を付けたものだ。そんなことを思い出していると、

「さて、それではこの試験の最後の目的を話そう。」

そこで一泊置き、周囲を見渡すと、

「この試験ではお前たちの初期PPを決めさせてもらった。」

この発言に体育館内は一瞬静まり返ると、言っていることを理解したのかざわつき始めた。

「静かにしたまえ。なぜ君たちは話の途中で話し始める?最後まで話を聞いてそのうえで質問をしろ。お前たちがどういうことか理解できていないことは分かっている。だからその説明をする。」

そこで話を区切ると話を聞く態度ができるのを待っていた。まだ話していた生徒も話すことをやめ、話に耳を傾けると、

「用意はできたようだな。続きを話そう。PPがどういうものであるかは話したな?笹崎はお小遣いのようなものと言ったがこれはお前たちが支給されるポイントの基礎となるものだ。PPに100を掛けた値が毎月の支給額だ。そして、このPPは入学時点では決まっていなかった。個人としての評価を入学前の情報で決めるわけにはいかなかったため、この試験を通して一人ひとり評価させてもらった。後日、早くても明日だな、個人情報の所を見るといい、そこにPPがあるはずだ。それがこの試験でのお前たちの評価だ。」

このことを聞き俺はPPについて認識が甘かったこと、そして笹崎先生の適当すぎた説明に愕然とした。お小遣いと思えって程度のものではなかった。個人で生活をしていくうえでもポイントは必要だ、しかし、それは毎月一定額しか支給されないのだ。BPのことに気を取られてしまったがPPもかなり重要なものだったと認識させられた。

「PPの重要性は笹崎のせいで分かり難いものだっただろうが、この島での生活で必要なことは分かったな?本来はこの説明は来月の振り込み後に行われるものだったが事情が変わったため今回行っている。よかったな、来月にポイントが枯渇する心配をしなくて。ちゃんと節約して使うことだな、何か質問はあるか?」

月宮先生がそう最後に問うと、手を挙げた生徒が何人かいた。

「思ったよりもいたな、そこの女子から答えよう。」

と先生が指した相手は千春だった。

「はい。今回の評価基準を教えてもらうことはできないと思いますが、このポイントは増減するということでいいのですよね?そして減った際にはマイナスになることはあるのでしょうか?」

千春はポイントがマイナスになった際の取り扱いが気になったようだ。確かにマイナスになってしまったら支給どころか支払うことになってしまうのではないかと考えてもおかしくはない。

「評価基準は教えることはできない。が、お前の危惧していることは分かった。マイナスになったらゼロで止まる。だからそれ以上評価が下がることはない。特例的にこちらがマイナスを適用しない限りはゼロより下はないと考えてもらって構わない。増減はあくまでお前たちの評価だ、ポイントを金と考えるなら査定と言い換えてもいいかもしれないな。当たり前のことをやっていれば下がることも上がることもない。何によって評価するかを説明することはできないが、お前たちが考え得る悪いことはしないことだ。それは大体マイナス評価になることだからな。以上だ、他に何かあるか?」

先生がそう質問をするとまた何人かが手を挙げていた。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。

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