第27話
ブックマークありがとうございます!
また1人ですが増えていたのでうれしいです(*´ω`)
もっと頑張っていきたいと思います。
日もだいぶ沈み始めたころ、時間を確認してみると17:40となっており集会のために体育館に戻るにはいい頃合いとなった。
「そろそろ体育館に戻るか?」
「ん?もうそんな時間か?思ったより時間が経つのは早いな。まぁここで休んでると気を抜けば寝そうだったからちょうどいいかもしれないけどな。」
正悟は体を伸ばしながらそう言った。俺たちはもう丸一日以上寝ていなかったことから眠気がきつかった。今までは試験中だったからアドレナリンでも出ていたのかもしれない。
「確かに早く部屋で寝たいものだ。」
そう言って俺たちは移動の準備を整え歩いて体育館に戻り始めた。
「にしても、徹夜はちょっと無理したかな〜。」
正悟がそう言うと、俺たちが寝ずに試験に挑んでいたことに気づいた千春は、
「呆れた。貴方たちは寝ていなかったのね。そんな生活では体がもたないわよ?」
「試験中だったからしただけだ、普段はちゃんと寝ている。」
「そうそう。一度くらいの徹夜ならなんとかなると思っていたんだけどな〜。思ったより疲れていたみたいなんだよ。」
「環境が変わったのよ?多少のストレスを身体が感じていてもおかしくないわ。」
「確かにその通りだな。自分のことだが甘く見ていたようだ。」
「何にせよ、ゆっくり休みたいぜ。ちなみに白崎と榊は寝たのか?」
「私はあなたたちと合流する前、つまり図書館で仮眠をとっていたわ。図書館でしっかり寝たわけではないからいい睡眠とは言えないけれど、寝ていないよりはましって程度よ。」
「よくあんなところで寝れたな、誰か来ると思わなかったのか?」
「来ることは想定していたわ。けれどもあんな時間だったもの、人が来る確率は低いと思っていたのよ。」
少し顔を赤くして千春はそう言ってきた。
「変な奴が来なくてよかったな。」
俺がそう言うと、
「あら、早乙女君っていう変な人たちは来たじゃない。図書館に入ったのに大声で話すなんて迷惑だったわ。あれだけの声を出されたら警戒しながら寝ていた私としても起きてしまうもの。」
「悪かったな、変な奴が来て大声で話して起こしちまってよ。」
「拗ねるなよ、正悟。図書館内で声が多少大きかったのは事実でマナーとして悪かったのはお前だ。」
「わかっているけどよ、言い方ってもんがあるだろ。」
正悟はそう言って拗ねた様子のままだった。千春に関してこれ以上会話を広げるとまた正悟が拗ねると思い、
「榊はどうなんだ?」
と千春から榊へと話の対象を変えた。
「………名前。」
「ん?」
「………名前で呼ぶ。」
俺が苗字で呼んだことが気に入らなかったのか訂正を求めてきた。
「あ、ああ、悪い。舞依は寝たのか?」
今度は名前で呼んだから質問に答えてくれた。
「………女子の合宿所で少し。」
「合宿所で寝てたのか。だが、それにしても朝早くなかったか?」
「………うるさくてよく寝れなかった。だから早く出てきた。」
「そうか。多くの人が集まっているからな、そういうこともあるか。」
「早くっていうけど何時ぐらいに出たんだ?あの時間に男子学生寮にいたけどそこに着くまでには問題が解けていたんだろ?」
「………起きたのは3時ごろ。出たのは5時。それだけあれば考えてから移動できる。他の女が起きると邪魔そうだからぎりぎりまで合宿所にいた。道中も考えれば全部解けた。」
どうやら舞依は俺たちよりも時間をかけずに答えを考えることができていたみたいだ。それなら初日に寄生して楽をしようとしなければよかったんじゃないかと思ったが面倒だったと言っていたこと思いだすと、やる気はあまりないが失敗はしたくないって感じのようだった。
少し間が空いたが正悟が何かを思いだしたかのように不意に、
「ん?けど、その時間だと、俺たちが男子学生寮の前を通ったときに姿を見ていそうじゃないか?」
確かにそうだった。7時前後には俺たちは2度もそこを通っていたのに舞依のことは見ていなかった。正悟がそのことを思い出し聞いたのだが、舞依は顔をそらしながら、
「………迷子。」
とだけ小声で言った。あまりに小声で何と言ったのかわからず、
「すまん。聞き取れなかったからもう一度言ってほしいのだが。」
と、聞き返すと、
「………迷子になった。道がわからなくて迷ってたらいつの間にかそこにいた。」
徒だけいつもより恥ずかしいという気持ちがわかる程に感情が表れた声でそう言った。段々と声もしぼんでいったが、言いたいことは分かった。
「もしかしてだが、出会ったときに楽をしたかったと言っていたが、本当は重度の方向音痴だったのか…?」
俺がそう聞くと、少し間が空いて頷き弁明をしてきた。
「………けど、楽をしたかったのも事実。それに方向音痴じゃない。ただ、目的地に着けないだけ。」
方向音痴ということだけは認めたくないようだった。
そんなことを話しているうちに体育館に着いた。10分前ということもあって多くの生徒が体育館にいた。さらにテントの前には渋滞ができており、まだ用紙を提出していない生徒も多数いた。
「こんなにもまだ未提出者がいるなんて驚きね。普通はもっと早く行動するものじゃないかしら?」
「確かにギリギリになりすぎていると思うが、集めて来ることと解くことにかかる時間の割合によっては仕方ないだろう。」
「てかさ、これはセーフなのか?テントの中に入っていればセーフって書いてあったが、並んでいるのは外だぜ?」
確かに正悟の言うことは的を射ている。テント内にあったホワイトボードには『この場にいる限り時間を過ぎたとしても時間内に提出したものとみなす。』と書いてあったはずだ。これでは大半のものが提出せずに終わりそうだ。その声が聞こえてしまったのか並んでいた人たちが、
「どういうことだ!俺たちは並んで入れと言われたぞ!」
「そうだ!順番を守れって言われて並んだのにこれじゃ意味ねぇじゃねぇかよ!」
並んでいてもテント内にいないと意味がないことを理解したため、騒ぎだしてしまった。さすがにその状況を見かねたのかテントの中から教員たちが出てきた。
「静かにしろ!愚か者ども!」
鮫島先生がそう怒鳴り上げた。その瞬間騒いでいた生徒も含めて体育館にいた人の全員が静まり返った。
「お前たちが時間制限内に提出できなかった、これが現実だ。人が多くいて待っていたから提出できなかったなど言い訳だ。なぜ時間に余裕を持った行動をしない?テント内までこれたものは認めるといったがそれもおまけに過ぎない。」
鮫島先生の発言に対して何か反論しようとする人もいたが体育館内の空気で発言ができないでいた。すると、
「だが、そこまで抗議をしたいならばいいだろう。用紙は受理してやる。ただし、評価が下がることは覚悟しておけ。お前たちは本来受理される立場になかったんだ、受け取ってもらえるだけよかったと思え。」
そう言い終えると、テント内に戻った。館内は静まり返っていたが外から「急げ!」といった多くの生徒の声が聞こえてくると館内にいた生徒もまた動き出した。5分前になってようやく学園に戻ってくる人たちで、館内に入ると空気の違和感に気づいた様子はなかった。
それから間もなくテントで教員が受理を再開したと思われると、中にいた職員の人がテントから出てきた。
「先程の話を聞いていた並んでいた生徒の代表者はこちらに来てください。」
そう呼びかけていた。多くの並んでいた学生はそちらに移動して、あとから来た人たちは状況を理解した様子はなかった。どうやら、5分前までに来ていた人たちとギリギリの人たちとでさらに差別化を図るようだった。後から来た人たちに今の状況の説明を求められると厄介だと思い、
「俺たちはもっと中の方に入っておこう、あまり入り口付近にいると厄介ごとに巻き込まれかねない。」
そう言って、返答を待たずに入り口から離れたところに移動しようとしたところで予想していなかったわけではない人物から声をかけられた。
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