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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
入学編 ~特別試験~
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第20話


「は?」

「だから、手をつないでもいいかって聞いているのよ!何度も言わせないでもらえるかしら。」

どうやら俺の聞き間違いではなかったようだ。いきなりのことで驚いてしまいどうすべきかと思ったが、

「かまわないが。」

そう言うと、彼女は顔を赤らめながら俺の手を握ってきた。

「…ありがとう。」

「おう。」

何とも言えない空気になってしまいお互いにそれしか言えなかった。

コンビニまでそのままかと思ったが不意に、

「…まだ少し怖いの。」

そう彼女は言った。

「あんな体験は日常生活ではまずしないからな。仕方ないだろう。」

「そうね。けど、貴方がいてくれたから助かったわ。貴方がいなかったらどうなっていたか…。」

「たらればはいくら言ってもどうにもならないぞ?助かった、それが事実だ。」

「わかっているわ。けど、私は初めてこれほど怖いと感じたことがなかったわ。今もあなたが離れてしまったら、私は先ほどみたいに捕まってしまうのではないかって、今度はもっとひどいことも…。」

「…少なくとも今は俺がいるから安心しろ。」

俺はそう返すのが精いっぱいだった。今までの強気な白崎とは違ってしまいどう対応してわからなかったのだ。だが、ここまで不安そうにしているのは見ていられなかったというのもある。今は誰かが守らなければいけないのだろうとそう思っていた。

「…ありがとう。」

彼女はそう言って俺の手を強く握りしめた。


それから特に大した会話があったわけではないが、歩いているとコンビニへと着いた。そして、ちょうど正悟たちが買い物を終えたところだったようだ。

「あれ、蒼たちも結局来たのか?」

そう正悟は言ってきた。榊は正悟の後ろから出てくると買ったばかりのおにぎりを食べ始めた。

「早いな!まぁいいや。蒼、それと、これは白崎さんの分だ、ほれ。」

そう言っておにぎりとサンドイッチを手渡してきた。俺たちはそれを受け取ると、入り口では邪魔になるので少しその場から離れてそれらを食した。

食べ終わると白崎が、

「迷惑をかけてごめんなさい。私のせいで時間を無駄にしてしまったわ。」

そう謝ってきた。

「いやいや、気にしなくていいよ!それにまだ間に合うさ、な、蒼?」

「そうだな、まだ時間はある。」

榊も頷いていた。

「ありがとう、じゃあ急ぎましょう。」

白崎はそう言ってデパートの方へ歩き出した。俺たちもそれについていくことにした。途中で彼女の手が震えているのが見えたから手を差し出すと彼女は安堵して俺の手を握ってきた。正悟はそれをニヤニヤしながら見てきて、榊もこちらを無表情で見てきた。何か言うのもどうかと思ってスルーしていたら彼らも特に何も言ってこなかった。


デパートはコンビニから少し歩くと着いたが、こんなに近くでいいものかと思うところもあったが、何か狙いがあるのだろうと考えて気にしないようにした。

「確かデパートの3階よね?」

とデパートへ着くなり彼女はそう聞いてきた。

「そのはずだ。」

「ていうか、今回のスタンプはどこにあるんだ?3階って言ったって広すぎるだろ。」

「確かにそうね…。」

「………店の人に聞く。」

「それが一番だな。」

「よし!じゃあ3階に着いたら店員にスタンプのことを知らないか聞いてみようぜ。」

俺たちはデパートの3階を目指すことになった。1階は食品を主に取り扱っているようで、2階は雑貨がメインのようだった。3階に着くとメインは本屋だった。

「なるほど、だからデパートか。」

「ん?どういうことだ?」

「おそらく教科書や参考書はここの書店が取り扱っているのだろう。ショッピングモールにもあるかもしれないが、わざわざこのデパートの3階にして、本屋だ。俺たちが行くであろう施設としてこの本屋が確実だというのはそう言うことじゃないか?」

「なるほどな。でも、そしたらこの本屋だけあればいいんじゃないか?」

「そうとは一概に言えないわね。ここにしかないということになると、本が必要になったときに全員がここにきてしまう。それでは市場の原理としては問題しかないわ。法律で決められているといってもこの島ではその1つ店舗しかなかったら価格を操作してしまうこともありうるわ。」

「なるほどな。」

そんなことを話しながら店員を探していた。


ちょうどよさそな人は見つからなかったのでレジにいた男性に声をかけることにした。

「すみません。」

「はい、どうしました?」

「私たちは新入生で特別試験を行っておりまして、スタンプがこの場所にあると思うのですが、何か知っていることはありますか?」

俺が代表してそう尋ねると、

「君たちもか。」

と、男性は言ってレジの中からスタンプを取り出してきた。

「今日は君たちと同じようなことを言ってくる学生が多くてね。まぁ中には勝手に探しているものだから注意もしたけど。これが君たちの探しているスタンプだろう?」

そう言ってスタンプを差し出してくるので俺はそれを受け取り、確認した。

「…このスタンプではないですね。他にもあるんじゃないですか?」

と俺がきくと、

「ほぅ…。よく気が付いたね。」

と先ほどまでの人当たりのよさそうな店員という雰囲気からこちらを試すかのような鋭い雰囲気に変わった。

「他の人たちにも試しているんですか?」

「ああ、そうだ。ふん、引っかからない人は案外少ないものだな。みんなすぐ人を信じてしまう。隠していないのだから何かほかに仕掛けがあると疑ってもいいと思わないか?」

「どうでしょうね。」

そう、男性が差し出してきたスタンプは偽物だった。そう思った理由は単純で「よくできました」としか彫られていなかったからだ。偽物を差し出してくるとは思わなかったがどこか気になったから確認をしたが当たりだったようだ。

「これが、本当のスタンプだ。」

そう言ってもう一つのスタンプを差し出してきた。そして裏を確認するとメッセージがちゃんと彫られていた。

「確認は済んだな?」

そう聞いてきたので、

「はい、今度は本物のようですね。これすら偽物であれば手に負えないですね。」

と皮肉も加えて返した。

「ハハハッ。さすがにもうひっかけたりはせんよ。」

男性もそういうので俺たちはそれぞれの用紙にスタンプを押した。今回のメッセージは、「期央の試験では頑張りましょう」と書かれていた。

「ほう。全部のスタンプを集めたか。やるじゃないか。」

「ありがとうございます。」

「すみませんが、貴方は本当にこの店の店員なんですか?失礼は承知ですけれど、店員にしてはやっていることが不自然に思うのですが。」

突然白崎がそう男性に質問をした。

「ん?ああ、そのことか。スタンプを集め終えているしいいだろう。私は学園の関係者だよ。だからこれぐらい許されているのだよ。他の場所にも学園の関係者はいるぞ。これで回答になっているか?」

「そうですね、いいたいことはわかりました。ありがとうございます。」

「答えられる範囲なら質問を受け付けよう、何かあるか?」

と俺たちに聞くが、特に聞きたいということはなかったので誰も質問はしなかった。

「ないのか。まぁいい。じゃあ早く学園に戻るんだな。」

と男性が言うので俺たちは一礼して学園に戻ることにした。



現在時刻14:00  18:00までおよそ4時間 現在集めたスタンプ8


ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。

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