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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
入学編 ~特別試験~
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第16話


「やあ、またせたな男子たち。ちゃんと大人しくここで待っていたか?女を待つこともできない男なモテないぞ。」

先生は白崎たちを連れて戻ってくるなりそう言ってきた。

「ちゃんと待ってましたよ!」

「やることもないので待っていましたよ、正悟はうるさかったですけど。」

「いや、そんなことないだろ!」

「どうせ早乙女君はまだかまだかと言い続けていたんじゃないのかしら?」

「………有り得る。」

「何でいなかったお前たちまでそういうの?」

「ハハハッ。中々に仲がいいじゃないか、君たちは。」

笑いながら先生はそう言ってきた。正悟は不本意そうな様子だったが、見ていなかった白崎と榊にまで言い当てられて言い返せなかったようだ。

「それじゃあ私は戻るぞ、またなんかあったら来るといい。引き続き頑張れよ!」

「「「「ありがとうございました。」」」」

俺たちは先生にお礼を言った。


先生が戻っていく後姿を見送ると俺たちはこの後どう動いていくか話し合った。

「俺は居住区域の奥にある商業区域にスタンプを押しに行きたいと考えているが、どうする?」

「そうね、私たちはそれでいいかもしれないけれど、」

と言葉をそこで区切り榊の方を白崎は見た。

「………気にしなくていい。」

「…はぁ。ここで一緒になったのは何かの縁ということかしらね。いいわ、先に貴女の分のスタンプを集めましょう。」

白崎のその提案が意外だったのか榊は驚いて彼女を見た。

「………いいの?」

「私がいいと言っているから気にしなくていいのよ。それで、あなたたちはどうするのかしら?まさか、先にスタンプを全部集めに行くなんて言わないでしょうね?」

「俺は榊さんの分を集めに行くのは全然かまわないぜ!蒼もいいだろ?」

俺としてはここで別れてスタンプを押しに行きたい気持ちがあったが、ここで反対するのもいかがなものかと考えなおして、仕方なく、

「…まぁいいだろう。」

そう返した。

「そうと決まれば近いのは、生物講義室だな!早く行こうぜ。休んでたクラスの連中もさすがにもう移動してる時間だしな。鉢合わせると時間がもったいない。」

「そうね。早くいきましょう。でも、その前に、」

そう言葉を区切ると、俺たちの用紙を返してきて、

「忘れる前に貴方たちに返しておくわ。」

「ありがとう。」

「サンキュー!」

そう俺たちはお礼を言って受け取った。スタンプを見ると「よくできました。」「君たちにとっては結果よりも」と書かれており、やはりメッセージがあった。下段の⑥、⑦、⑧のスタンプがそろい、繋げて読むと、「君たちにとっては結果よりも」「過程が大事だというのならば」「日々の努力は欠かせませんね」と一つの意味のあるまとまりになった。だが、このまとまりに何の意味があるのだろうか?俺はそんなことを考えていた。

「おい、蒼!何ぼさっとしてるんだ、置いていくぞ?」

そう正悟に声をかけられ前を見ると、白崎と榊、正悟は先に進んでいた。

「悪い、考え事をしていた。」

そう言って前方に小走りで追いかけた。


 教科棟に着くと、俺たちは一度行ったこともあるからサクッとスタンプを押してきた。だが、生物講義室から出て教科棟の入り口に戻ろうとすると思いがけない人物と再会した。

「お前たちか。人数が増えているようだが、順調か?」

「ええ、まぁ。それよりもどうしたんですか、生徒会長?」

俺たちが教科棟で出くわしたのは今朝あった諸伏生徒会長だった。彼の後ろには小柄な別な女生徒もいて、彼女は何冊かのファイルを抱えていた。

「ああ。俺たち在学生はまだ授業がないんだが、生徒会の業務は別でな。朝からその仕事のために来ている。」

「そういうことでしたか。大変そうですね。」

「ふっ、他人事のように言ってくれるな?」

「こちらも試験中なもので。」

「可愛げのない奴だ。会長に対する敬意もないものだな」

「敬ってほしいとは思ってないようですが。」

そう言って会長と目を合わせていると、

「会長、時間の無駄です。こんな益にならなそうな人たちはほっといて生徒会室に行くです。まだまだ業務はいっぱいあるです。」

諸伏会長の後ろに控えていた女生徒がそう言ってきた。

「益になるかならないか判断するのは俺だ。余計な口を出すな。」

「すみません…です。」

「わかればいい。新庄、時間を取らせて悪かったな。試験頑張りたまえ。」

「いえ。会長もお疲れ様です。」

そう言って俺たちは生徒会長たちと別れた。


教科棟から出て図書館へ行こうとすると、

「ねぇ、新庄君、貴方は生徒会長とどんな関係なの?」

白崎がいきなりそう聞いてきた。

「どんな、というと?」

「先程の会話、貴方と生徒会長は以前から知り合いなのかしら?あまり友好的にも見えなかったわ。」

「高校に来る以前に会ったことはなかったと思うぞ。会ったのは今朝だ。」

「それなのにあのような会話をしているの?」

「なぜだろうな、俺にはわからない。」

そう言って俺は図書館へと歩みを進めた。

「ちょっ、蒼待てって。」

正悟も慌ててついてきた。白崎はまだ何か言いたそうだったが俺が話す気がないと感じ取ったのかそれ以上何も追及はしてこなかった。榊はそんな白崎の顔を見ていて、白崎が歩き出すと彼女の横に並んで歩いていた。



「………会長の目、」

「何かしら?」

「………会長の目は獲物を狙う獣の目をしていた。………新庄君に何かを見出している。」

「何か?」

「………何かは分からない。」

「…そうね。」

彼女は榊のその言葉を聞いて新庄の背中を見つめた。何があるのかはわからないが彼にも何か隠している秘密あるのだろうと思いながら。



教科棟を出て間もなく図書館へと着いた。図書館もだが、ここに向かう途中も多くの生徒とすれ違った。端末の地図を見ながらであったり、用紙を持ち複数人で考えている人たちもいた。クラスの集団行動をしている人たちとはすれ違わなかった。この時間にすれ違わないということは商業区に行っているのだろう。

図書館の中に入ると、今朝の明け方と違って受付にも人がいて、何人かの生徒が出入りしていた。俺たちは図書館に入ると地下に向かった。上に登っていく人たちもいたから他クラスの人たちのスタンプも図書館にあるのかもしれないと思った。スタンプのある位置に行くと、脚立がスタンプのある棚の前に置かれたままだった。誰か他のクラスメイトが来ていたのかもしれないが片付けなかったのか親切心でそのままにしていったようだ。榊に脚立に登って押してくるように言うと、彼女は頷いてスタンプを押してきた。押した後は念のため俺たちでもとあった位置に脚立は片づけて図書館をあとにすることにした。


図書館を出ると正悟は、

「よし、これで俺たちのスタンプの数は同じだよな?」

と確認してきた。誰も何も返事をしなかったが、返事がない=問題ないと解釈したのか、

「じゃあ同じ数になったし、残りのスタンプを押しに商業区にいこーぜ!」

と俺たちに言ってきた。

「貴方がなぜそんなに仕切っているのかわからないけど、そうね。早く押しに行きましょうか。居住区の先にあるのだし、時間がかかると思ってよさそうね。」

「片道二時間以上といったところだろうな。」

それぞれの区域が袁家に展開しているのが特徴のこの島だが、端から端へ抜けるのが難しいのだ。円の直径のように進みたくても建物が密集していることもあり円の弧を描く道で進まざるを得ないところが多々あるのだ。

「自転車を借りるか、公共交通機関を使った方が時間の短縮になりそうね。」

そう彼女は提案してきた。

「それなら確かバスがあったな。」

居住区の方へと歩いているときにバス停を見かけていたことを思い出した。

「確かにあったはずだな。」

「なら、バスで近くまでの行けるところまで行きましょう。」

そう白崎は言って先に進んでいった。

「榊も大丈夫か?」

誰も確認していなかったと思い念のため彼女にも声をかけたが頷いてくれたので大丈夫ということだろう。

俺たちは東門へと向かい、そこから近くのバス停へと歩いて行った。



現在時刻10:50  18:00までおよそ7時間 現在集めたスタンプ6

ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。


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