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ふと気付くと、いつの間にか寝間着に着替えてベッドにいた。アニータとあの後、何を話したのか思い出せない。
周りを見ると未だに周りを飛んでいる精霊たち…可愛らしい見た目だが、この精霊のせいで自分が臭い匂いを発していると思うと、やるせない気分になり落ち込んだ。
「はぁ~可愛いしカラフルで綺麗なのに、なんで私が臭くなるの…」
「…ね…ぇ。ねぇ、僕の声聞こえる?」
小さな男の子の声が聞こえ、周りを見回すも誰も見当たらず気のせいかと目を閉じるも再度声が聞こえて目を開けた。
「もー!ここだよ。ここ!ねぇ、君の魔力すごく美味しいね。」
目の前には羽が生えた小人…そう精霊が飛んで私と目が合った。
ただ、その精霊は可愛いと言うより格好よく、大きさは変わらないが、他のが幼児だとすると、この子は青年くらいに見え、小さいながらも8頭身の緑髪イケメン妖精だった。
戸惑いながら私は話し掛けてきたであろう精霊に手を伸ばした。
「えっ…?えぇっ!?あなたが話しかけてきたの?」
「ふふ~ん。そうだよ。君が産まれた頃から狙ってたんだ。」
「えっ?触れるし、話せるの?」
「ん~…他の精霊は話せないし触れもしないと思うよ。僕が特別!…あむっ!おいしー!!」
私の掌に乗った精霊は得意気に話すと私の周りの空気を食べる仕草をした。
その仕草が可愛く、私は緑の精霊を眺めていたが疑問に思ってたことを聞いた。
「ねぇ、なんで精霊が魔力を食べると匂いがするの?」
「ん~…匂いがするのは、この子たちだけだよ。この子たちは成長途中で赤ちゃんみたいなものだから、人間と一緒で食べたら、すぐ出るんだよ。見えないだけで。」
困ったように周りを見渡しながら言う緑の精霊の言葉が衝撃的で私は再度確認した。
「……………えっ?じゃっ…じゃあ、あの硫黄の匂いって精霊の赤ちゃんのしっ…下の匂い…!!!!」
「硫黄ってのが何か分からないけど、そうなるね。」
「……イヤァーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
〝嘘でしょ!嘘でしょっ!
じゃあ、皆精霊のう○ことお○っこをまとわりつかせて、かつ良い匂いって言ってるって……!!
そして、私も今日から仲間入り…!!なうえ、人数が多いから、より多くのう○ことお○っこを付けてるってこと!?
ヤダヤダヤダヤダ!〟
「どうにか、出来ないの?!」
切羽詰まって緑の精霊に問い詰めると
「けど、この子たちもご飯食べないと死んじゃうし。君の魔力は凄く美味しいから成長も早いと思うんだけど…」
「せめて、人が居るときだけでも!!」
「ん~…じゃあ、人が居る時は僕が追い払ってあげる。けど、君が1人の時は食べさせてあげてね。」
必死に言い募る私に緑の精霊は妥協案を出してくれた。
「それでいいです!助かります!
え~と…私の名前はマリーンて言うんだよ。あなたは?」
「う~ん…僕と同じ人型精霊からは〝緑の〟とか呼ばれるけど」
「他にも居るんだ。
名前がないの?それじゃあ、リク…なんてどうかな?」
「リク?陸?」
「うん。緑の人って書いてリク。安直だけど、どうかな?」
「ふ~ん。緑人。リクね。気に入ったよ!アハハハハハハッ!じゃあ、またね~」
リクは笑いながら消えて行き、私は暫し呆然とし眠りについた。
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