6
「ささっ、姫様、お疲れかと思い、このアニータが腕によりをかけて作ったクッキーと紅茶でございます。」
この世界のお菓子と言えば砂糖がこれでもかってくらい入っており、初めて食べた時の衝撃は忘れない。
そう、食事に出てくるのはフルーツばかりだったのでお菓子が出てきた時は久しぶりの甘味だーっと口いっぱいにほおばった。その後の記憶がなく目が覚めた私が見たのは、私に毒を盛ったのかと騎士に問われ剣先を向けられ震える侍女たちと、目の前で診察しているおじいちゃん医師だった。
それからと言うもの、私はめちゃくちゃヘルシーなお菓子しか食べなくなった。いや、この世界でヘルシーなだけで前世普通の甘さのお菓子なんだけど。
厨房の人に私1人の為に作らせるのも申し訳なく、あまり頼んだりしないのを知っているアニータは、わざわざ私のために作ってくれたようで、私はキラキラ瞳を輝かせながら目の前のクッキーと紅茶を見つめるのだった。
「わ~、アニータが作るお菓子は美味しくて大好き。いつも、ありがとう。アニータ」
クッキーを口に含み、お茶を楽しみながら先ほどあった出来事を話した。
「アニータにも精霊様はついているの?」
周りと比べ比較的マシな匂いのアニータに聞いてみるとアニータには人型が2人ついているそうだ。
私を見る目が変わらない事も指摘すれば
「姫様は沢山の精霊様につかれている様で魔力も多く、嬉しく思います。他の侍女たちには厳しく指導が必要でございますね。
姫様は、どんな姫様でも変わらないアニータの姫様ですからね。匂い一つで変わったりはしませんよ。」
それを聞いて安心した私は気になっている事を聞いた。
「神官様は芳しい香りと申してましたが、私はどのような匂いがするのでしょうか?」
「姫様からは王様、王妃様より更に強い香りが致します。今からこれだと、将来が楽しみでございます。」
「えっ?!お父様やお母様と同じ香りなの?!…マジかぁ(ボソッ)」
良い匂いだと言われた私は、お菓子のような甘い香りか花の香りだと思っており、本当は硫黄の強い匂いだと聞き衝撃を受けた。
あまりの衝撃に私は人前だというのに淑女の話し方も忘れ呟いた。