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私が部屋で嘆いているとノック音がした。


「リーン姫様、ヤンです。一緒に村の様子を見に行きませんか?」


ヤンからの誘いに飛び付き私はドアを勢いよく開けた。


「うおっ!そんな急がなくても置いて行きませんよ。」


苦笑いをしたヤンを見て淑女としてあり得ない行動に恥じて顔に熱が集まった。


「すっ、すみません。最近はあなたと二人で出掛けることがなかったので嬉しくて、つい。」


四六時中引っ付いて回るエヴァンは今はまだ来て居らず、王族とバレてるのは村長と馬車から降りるときに見られただけのため簡素な服を着た私はヤンと二人なら気兼ねなく見て回れると思い嬉しくなったのだ。


「えっ?いや、その…俺もリーンと一緒は楽しいですから。」


何故か頬を染めたヤンは今ではイケおじになっていた。私がヤンを4年間振り回したせいか、ぽっこりお腹はへこみ腕や足も筋肉質になって全体的にシャープになっていた。

私は未だにぽっちゃりなのに解せぬ。


「それでは行きましょう。」


一瞬エヴァンの顔が浮かんだが振り払った。後々、めんどくさい事になるだろうが誘惑には勝てず私はヤンと出かけた。


村では自給自足のため、殆どの事を自分たちで行っており作れない鍋など金属商品はたまに来る行商から買い自分で修繕しながら使っている。しかし、この村は珍しく工房があり簡単な物なら、ここで買ったり修理を依頼することができるらしい。

珍しく思い私は工房の中へ入って行った。中に入るとムワッとした熱気とカーン、カーン、と何かを打つ音がした。音の発生場所を探すため、キョロキョロしていると見つけた。

そこには筋肉で腕が凄く太いおじさんが居た。暑さのせいか身体中汗をかいており服もべっちょり濡れていた。真剣な表情で鉄を打つおじさんを暫く眺めていると一段落ついたのか水の中へ鉄を入れジュッと音をたて立ち上がり振り返った。


「こっちに商品はないぞ。表に行きな。」


ぶっきらぼうに、それだけ言い去って行ったおじさんを私は驚きで見ていた。後ろ姿だったので今まで分からなかったが、おじさんは腕だけ筋肉が凄く他はたるんでたのだ。隠れきれてないお腹はぽっこりしていた。顎の肉もなかなかついていて匂いも汗と硫黄の匂いが混ざり吐きそうだ。腕だけマッチョと言う人間の神秘に出会いぶっちゃけ気持ち悪い体型だ。

この世界基準ではどうなんだ?とヤンをチラ見すると「ふむ、中々の美形ですな」なんて言っていて更に衝撃をうけた。


あまりの衝撃にふらふらしながら工房の裏手に回ると一気に匂いがなくなった。不思議に思い顔を上げると一人の青年が居た。ほっそり痩せている背中を見せ木箱に腰掛け座っていた。


『あれぇ!?〝金の〟じゃないか!彼が今回のお気に入りかい?』


『あら、〝金の〟に気に入られて、御愁傷様。』


【金属性の精霊がいるの?】


『そうそう!〝金の〟は独占欲が酷くて気に入った魔力があればベッタリ。僕たちもどこに居るかわからないくらい交流がなくなるね。だから久しぶり会ったよ!』


『見えないの?なら少し魔力貰うわね。』


アクアが私の周りの魔力を掴むと彼の方へ飛んで行った。多分、件の金属性精霊と揉み合いになっているみたいで暫くすると満面の笑顔で戻ってきた。


『さぁ、これで見えるでしょう?』


そこには金髪ロングの女の子がいた。目はつり目だが全体的に色白で出るところは出ている西洋人形のように綺麗な見た目をしている精霊が髪を乱れさせ憤怒の表情でこちらに来た。


『ちょっと!勝手に変なもの食べさせないで下さる!?全く〝青の〟ときたら、落ち着きがありませんわよ!』


『ごめん、ごめん、この子に〝金の〟を見せたくてさ。』


『ふんっ、私たちの事を見る人間がいるもんですか!』


【あのぉ~、初めまして。マリーンです。】


私が声をかけると金属性精霊が驚愕した顔でこちらを振り向いた。どんな顔しても可愛いままだった。


『なっ、なっ、なっ、なんですの?!この人間!わたくしに話しかけてきましたわ!』


『因みに僕の名前はリクだから!』


『私はアクアよ。次からはちゃんと呼んでね。』


「リーン、急にボーッとしてますが気分が悪くなりましたか?」


精霊たちのやり取りを見ていると急にヤンから声がかけられた。ヤンの存在を忘れていた私はビックリしたが何とか取り繕い、この場から離れた。


「うぅん、何でもないわ。行きましょう。」


【次は1人で来るわ。】


『ふんっ!わたくしも気になるから待ってるわ。』


金属性精霊のツンツン具合に笑いが込み上げてくるも我慢し私は再び村をヤンと回るのだった。


王城から出るたびに拐われそうになるマリーンを守っていたため、ヤンは激しい運動量になり痩せていきました。

マリーンは拐われそうになっている事に気付いていません。

そのうちsideストーリーとして投稿するかもしれませんが補足です。

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