第5話 勇者ツヨ・イン・デス
「うまく異世界に逃げ込んだようだか私が来たからには悪さはさせんぞ!この聖剣の錆にしてくれる!」
勇者様は芝居掛かった口調でこちらに近づいてきた
「あ、あの!勇者様、私はこの魔王に騙されて死の契約を結ばされてしまいました、助けてください!」
「この裏切り者がぁ〜」
「はぁ?聞こえませんなぁ」
「クッ、スキル覚醒までさせてやったというのに…貴様のスキル覚醒のせいで厄介な勇者に嗅ぎつけられたんじゃぞ!」
「そんなの頼んでませ〜ん。勇者様早くこの魔王を倒してください!」
契約違反しただけで死ぬなんてまだ前の職場の方がマシだ、さっさと帰って職探しの続きだ
「魔王、手下の魔物を異世界人に擬態させて隙を突くつもりだろうがその手は喰わんぞ!」
「ファッ!?」
「まずはその魔物から片付けやる!」
その時さっきまで座っていたソファーが俺を庇った、比喩とかではなくそのままの意味で
「ソファーに魂を与えて身代わりにしました、危なかったですね」
「ちっ、他にも魔物が居たか」
重厚感のあるソファーが真っ二つにされていた、テレビで見た事のある居合斬りの達人でもこんな事は出来ると思えない
「レベル70超えの勇者か、厄介じゃの」
「嘘だろ?なんでいきなりそんなレベルの奴が来るんだよ!?最初はもっとこう弱い奴が来て段々強くなっていくのが普通だろ?」
「疑うなら自分で確認するがいい」
魔王は水中眼鏡みたいなのを渡してきた
「何コレ?」
「スキャウトゥァーだ、敵のレベルが確認できる」
「うわぁ、ひどい名前」
文句を言いながら付けてみると視界にウィンドウが表示された
「勇者ツヨ・イン・デス、レベルは…78!?」
「ちなみに装着者のレベルは視界の右端に表示されるのじゃ」
「えっ〜と、レベル3?」
「そうじゃ」
レベル差75、ゲームならチートでも使わないと勝てる訳が無いレベル差だ
「無理ゲーだろーーー!」