第4話 勇者襲来
「じゃあ、俺のスキルはヌルヌルにするだけ…?」
「天津飯を作る時に便利じゃないですか」
サティさんはフォローなのか天然なのか分からない事を言ってきた
「あんまりだぁ〜、こんなクソスキル!リセマラさせてくれ、もっとカッコいいスキルにしてくれよ!」
「無理じゃな、一度発動したスキルは変えられん。もっともスキルは精神に左右される、お前では何回やってもヌルヌルスキルがお似合いじゃ」
魔王様は幼女がするとは思えないような蔑んだ笑顔だった
「精神に左右されるだと?じゃあサティさんは何のスキルなんだ?」
「サティは非生物に魂を与えるスキルじゃ、サティは魔族にしては母性が強いからのぅ」
「何それ、じゃあゴーレムとか作れるじゃん!」
「と言っても制約は色々ありますけどね。単純な命令しか実行できないですし……」
ヴィー!ヴィー!
突然けたたましい音が鳴り響いた。
「来たか…」
「はい、先程のスキル覚醒の際の魔力を探知されたようです」
「何が来るんだよ?」
「決まっておろう、悪ーい魔王を討伐しにきた勇者様じゃよ。会敵までどれぐらいじゃ?」
「移動速度から計算して恐らく5分後にはココに到着すると思われます」
「よろしい、総員戦闘配置じゃ!」
「じゃあ俺はこれで失礼します…」
ヤバい雰囲気を感じて退散しようとしたが、部屋から出ようとした途端に俺の腹が真っ赤に光だした
「えっ!?何コレ?」
「敵前逃亡は契約違反で死罪じゃぞ、臓物をブチまけて身軽になりたいなら部屋から出て構わぬがな」
「クッソブラックじゃねぇか!こんな契約無効だ!さっさとコレをなんとかしろ!」
「阿保、スキル覚醒した時点で契約は成立しておる、取り消しなど出来ぬわ」
「魔王覚悟!」
揉めてる間に勇者が剣を片手に踏み込んできた
「ふざけんな!そんな説明無かったぞ、法令違反で無効だ無効!」
「魔王に法令など通用すると思うか?お前は黙ってそこの勇者からワシを守ればいいのじゃ」
「人権侵害だ!大体こんなクソスキルでどうやって守れって言うんだよ!」
「身体を張って盾になるとかあるじゃろ?そのひ弱そうな身体でも頑張れば3撃ぐらいは耐えられると思うぞ」
「あんな剣1発でも喰らったらギブアップだわ!ひ弱舐めんな!」
「無視するなぁ!」
「「あっ、はい」」
激昂した勇者のあまりの剣幕に魔王と俺は思わずハモってしまった