第3話 魔王様の設定
「では魔王様、いつまでも隠れてないでこちらに来てください」
サティさんは物陰に隠れてる魔王様を引っ張ってきた
「引っ張るなぁ、分かっておるわ」
魔王様は観念してソファに座った
「さて、お主が面接希望者じゃな」
(あぁ、偉そうな口調まで作り込んでるな。こんなごっこ遊びするぐらいだから金持ちの子供なんだろう。適当に話合わせて気に入られて採用してもらおう)
「初めまして魔王様、三村 一樹といいます。魔王様のお力になるよう全力を尽くしますのでよろしくお願いします。」
ブラック企業で身に付けた表面だけの笑顔を見せて魔王様に挨拶をした。
「サティ、こう言ってるし採用でいいんじゃないか?」
「魔王様がお決めになられたなら私には異論はありません」
「なら採用じゃ、早速スキル覚醒させるぞ」
「スキル覚醒?、っていうか採用でいいんですか?」
あまりに雑な面接に不安になって聞き返してしまった
「なんじゃ、不採用の方がいいのか?」
「いえ!採用で問題ないです、ありがとうございます!」
(子供はスグに気が変わるから今のうちに雇用契約結んで取り消せなくさせよう)
「ではサティ、手続きは任せたぞ。おいお前こちらを見ろ」
魔王様は俺の頭を掴み見つめてきた
「ちょっと痛いですよ、魔王様何するんですか?」
「スキル覚醒じゃ、目を逸らすなよスグに終わる」
(そういう設定ね、合わせとくか)
「よし、終わったぞ。これでスキルに目覚めたはずじゃ」
「変わった感じは無いんですが、自分は何のスキルに目覚めたんですか?」
「いい質問じゃ、お前のスキルは『物に粘性を与える』じゃ」
「はっ?何だって?」
思わず敬語を忘れて聞き返してしまった。
「ネバネバにするスキルだと言ったんじゃ、スキルは精神に強く影響されるからなお前実は粘着質な性格なんじゃろ?」
突然のディスりだと流石に子供相手でもイラついてしまった
「ごっこ遊びとはいえ大人を馬鹿にするのはちょっといけませんよ」
「いえいえ、ごっこ遊びじゃありませんよ。魔王様のスキルは『スキル覚醒』と『スキル判別』ですから」
にこやかな笑顔でサティさんが書類を持って戻ってきた