第1話
「はぁ、また後日連絡しますかぁ…即日採用って書いてあったのになぁ」
ボヤきながら地下鉄のホームのベンチに座り込んだ
俺は三村 一樹26歳、大学を卒業して新卒採用されたが入った会社がとんでもないブラック企業だった為3年保たずに退職。
その後再就職先を探すもいっこうに進まない。
「何がダメなんだろうなぁ、だいぶ妥協してるんだけどなぁ」
落ち込みながらもスマホに表示された求人から目ぼしいモノを探していると一際目を引くモノを見つけた。
「学歴・経験不問、魔王様をお守りする簡単なお仕事です??なんだこれふざけてるのか?」
釣りだろうと予想しつつも話のネタになるかと思い条件を見てみる。
学歴・経験不問!魔王様をお守りする簡単なお仕事です!!
学歴 不問
経験 不問
年齢 不問
性別 不問
給与 出来高払い
楽しく明るい職場です、未経験の方でも優しく指導するので安心して始められます
「……」
条件からとんでもないブラック臭が漂っていた。
「これで応募くる訳無いだろ、何考えてるんだよ」
こんなふざけた募集してる会社だ、きっとロクな会社じゃない。
他の企業に不採用にされた鬱憤を晴らしてやる、そう考えついた俺はそこに書かれた番号に電話をしてみた。
『お電話ありがとうございます!求人へのご応募ですね!!』
可愛い女性の声だった。いかついオッさんを想定してた俺は少し戸惑いながらも平静を装って返事をする。
「はい、なるべく早く働きたいんですが面接はいつ受けれますか?」
『やった!やっと初めての応募だ……あっ、すみません面接の日程でしたね。こちらとしても早く人材を確保したいのでお時間さえよろしければ本日でも構いませんよ』
ますますブラック臭が増した気がしたがスルーして
「今日でもいいんですか?じゃあお願いしたいんですが、何時頃お伺いすればよろしいですか?」
『ありがとうございます、では16時からでもよろしいでしょうか?』
「16時ですね、ではそれでよろしくお願いします」
『かしこまりました、では16時からでご予約受付させていただきます。お電話ありがとうございました』
「では失礼します」
16時なら一回家に帰ってからでも間に合うなと考えながら俺は地下鉄に乗り込んだ。