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は、初クエストです!緊張ですね!『イチャついてねーで早く終わらせろ』(神様)

「そうでしたか…確かに珍しいどころの騒ぎじゃありませんね」

「そうだろう?」

「だからと言って評価シートを雑にしていいわけじゃありませんからね!反省してください!」


また怒られてダージさんが一層小さくなる。本当に残念なナイスガイですね。


「まったく。えー、ミヤビさん。あなたの能力値ははっきりいって異常です。人間ではあり得ないくらいのレベルですね」

「ほ、本当にハッキリ言いましたね…」


心が…。人間じゃないなんて初めて言われたよ…。


「ギルドマスターでも同じことを言うでしょうが、自分の能力値に関してはもう少し口外しないことをお勧めします。例え人に襲われても大丈夫なくらいに経験を積んだのなら口外しても問題ないと思います」

「分かりました」


確かに。漫画の主人公のように人を簡単に倒せればいい。だが、いくら自分が強くても相手を…極端に言えば殺せないのならばこっちがやられてしまう。


「さて。依頼はどうしますか?今から受けれるものはいくつかありますよ?」

「全部見せてください」

「こちらになります」


茶摘み(推奨ランクG〜)

荷物運び(推奨ランクG〜)

ゴブリン退治(推奨ランクF〜)


「教官の評価により、ミヤビさんはFランクからスタートですので、ゴブリン退治も受注可能です」


ふむふむ。

ランクは11段階で、低い順に

H・G・F・E・D・C・B・A・S・SS・SSS。

普通はGからで、ひどくレベルの低い者はHランク。(Hランクは訓練を一定の評価以上でクリアしないとGにすら上がれないらしい)

ちなみに現在の最高はSSランクだそうだ。

過去SSSランクに上がった者は3人だと記録に残っている。


「えーっとじゃあ…」

「やめてください!!!」


外から突然大声が聞こえてきた。女性の叫び声だ。


「そろそろ怒りますよ!」

「そう怒んなよ可愛い姉ちゃん」

「そうそう。ただあっちで俺たちとお話ししようってだけじゃねえか」

「お話しなんてする気はありません!どいてください!」

「おっと通さねえよ」

「へっへっへ」


路地裏には1人の修道女と2人のガラの悪い男達。状況からして悪いのは男達のようだ。


「誰かっ!!」

「誰も助けに来ねえよ。俺たちは貴族に雇われてるパーティー【獰猛な牙(フィアースファング)】に楯突く奴なんて」

「ちょっとどいてくださいねー」


なんかぶつぶつ言っていた気がするが男達の間を失礼する。


「大丈夫ですか?」

「あなたは…?」

「僕の名前はミヤビ。冒険者です。お困りだったようなので」

「おいおい兄ちゃん。邪魔するんじゃねえ!」


ドンっと突き飛ばそうとチンピラ男が腕を突き出すが、逆に吹き飛んでしまった。


「えっと…そのくらいの力じゃ動かす事すら出来ませんよ?」

「てめえ!」


腹筋に力をこめて蹴りを受ける。

ボキッ…!!


「あ」

「ぐぁぁぁ!!」

「兄貴ぃ!!テメエ!よくもグヘェッ!」


よくもぐふぇ?魔法かな?今度ヤミーさんに聞いてみようっと。


「神よ…お許しください」


もう1人のチンピラの顔は地面にめり込んでいる。腹を蹴られ、くの字に曲がり、下がった頭をかかと落としで地面に叩きつけたのだ。恐ろしい修道女さんである。敵には回したくないね。


「お怪我は?」

「私は大丈夫です。あなたこそ…よかったのですか?彼らは貴族御用達のパーティーでして」

「悪い奴は悪い。だから懲らしめただけです」

「おおっ…貴方には不思議な力が見えます。神のご加護でしょうか?」


ギクリ。多分そうです。とは言えないなぁ…


「そ、そうなんですか?ら、ラッキー」

「まるで人ではないかのようなオーラですわ」

「…」

「はっ。また本来の目的を見失っていました。あのー、冒険者ギルドというのはどちらに…」





「おや?ミヤビさん。そちらの方は…」

「ギルド登録したいというので、連れて来ました」

「ああ、そうだったんですね。トラブルの件も合わせて、ありがとうございます」


いえいえ。当たり前のことですから。


「えー、ウヴァさん。こちらへどうぞ」

「はい」


ちょっと気になるな。さっきのチンピラの時に思ったけど、ただ者じゃない。修道女なのにかなりレベルの高い近接戦闘…高レベルな魔法使いかな?

休憩所でお茶飲んで待ってようっと。



そして座して待つこと20分。



ズドォォォン!!!!


「なんだ!?」


ギルドが揺れた。噴火でもあったのだろうか?休憩していた人たちもパニックになっている。


タッタッタッ…


「あー、落ち着いてください。教官のダージです。今の音は修練場での出来事です。災害などではありません。大変お騒がせしました」


ダージさんが頭を下げ、扉の向こうへと戻っていく。


『なーんだ。焦ったー』

『びっくりしましたね』


「…まさか…覗いてみよう」


扉を開けると修練場まで続く道からピリピリした空気が流れてくる。強者がいる感覚だ。テミュランさんに近い。


「ウヴァさん…あなたはいったい…」




修練場の扉を開く。目の前にあるのは無数のクレーターや瓦礫。まるで戦争でもしたかのように荒れていた。


「ウヴァさん。合格です」

「はっ。また私意識を失ってましたか?」


普通に動いていたのに意識を失っていた?どういうことだ?


「意識を?見事な戦い方でしたが…そこにいるのは誰だ!」


げっ。流石元冒険者。大人しく出ていくとしよう。


「バレてましたか」

「ミヤビさん!」

「何だミヤビか。盗み見なんて趣味が悪いな」

「そんな趣味は無いです」


誰が変態ですか。


「まあいい。とりあえず上に戻ろう」

「あの…ここの修繕費用は?」


ウヴァさんがボロボロになった修練場を見て恐る恐るそう言った。


「かかりませんよ。どうせ魔法で直せますし」

「よかったです…」


それを聞いてホッとしたようだ。この感じからして何回か損害賠償を取られたっぽいな。


「それにしても…大物ルーキーが2人か。厄介ごとの予感がするな」

「なんですか?」

「いや、なんでもない」


なんか言われた気がするが…追及はしないでおこう。




「これでウヴァさんのギルド登録は完了しました」

「ありがとうございます」

「依頼はどうなさいますか?」

「受けたいと思っています」

「だったらミヤビ、お前も一緒に行ってこい」

「一緒にですか?」

「お前ら2人ならゴブリン狩りに行っても大丈夫だろ。つーか、それで危険になる方がおかしい」


えー。今日会った女性と2人でゴブリン狩り(デート)って…気まずいじゃないですか…。


「いーから行ってこい!」

「…ウヴァさんはそれでいいんですか?」

「1人だと不安なので…お願いできますか?」


…そんな泣きそうなポメラニアンみたいな顔で言われちゃ断れないじゃないか…。


「…行きましょうか。ゴブリン狩り」





草原の端、街道の近くに小さな森が形成されている。ゴブリンたちはこの森から出てくるらしい。


「とりあえず探しましょう。5匹倒せばいいそうです」

「はい」


ウヴァさんの装備は軽装備だ。修道女の服を着て、武器は持っていない。手の中にあるのは十字架のペンダント。魔力増幅とかその辺の効果があるのだろうか?それなら僕も欲しいな。


「【探索(サーチ)】」


魔力の波動が広がっていく。鬱蒼とした森がイメージされ、そこにいる小動物や虫の生命すら感じた。


「…いました。ここから奥に100mほど行ったところに1匹だけ」

「便利な能力をお持ちなんですね」

「そう…ですね。これが無かったらこういう時は時間がかかりそうですもんね」


確かに便利だ。体力を無駄に消耗することも無く目標を探せる。広い森なんかでの依頼にはもってこいかもしれない。


「よし。そろそろ静かに行動しましょう。ゴブリンは休憩でもしてるみたいです。座ってますね」

「私がやってもいいですか?」

「どうぞ」


感じていた通り、ゴブリンは木の無い少し広い場所で座っていた。武器は無い。

一足飛びでウヴァさんが側面から近づく。一歩遅れてゴブリンが反応するが既に射程圏だ。


「…あれ?魔法とか使わ」


ズドン!


ギルドの時と同じような、ものすごい衝撃音が森に響き渡り、驚いた動物たちが足早に去っていく。


「あ…少し強くやりすぎたみたいです…」

「…」


こ、言葉が出てこない。ゴブリンのお腹の部分だけ(・・・・・・・)が無くなっているのだ。これで伝わるかな…なんて言っていいか分かんないや。


「吐きそう」


グロすぎる。ゲームとはこんなに違うのか…。思えばアヌビスの時はタックルだったからグロくなかったけど、剣とかで戦ってたらそうなるかぁ。


「討伐の証明はこの魔石だそうです。鑑定すると個体名が出るそうですよ」

「へえ〜。よく知ってますね〜」


ゴブリンの近くに落ちていた魔石を拾い、袋にしまう。


「次はミヤビさんの番ですね」

「そ、そうですね…」


今気づいたけど、虫も殺さないような笑顔に返り血が付いてて怖い。綺麗な人だから尚更怖い。


「あ、あっちですね…うぷっ」


ゴブリンの血の匂いのせいで吐きかけた。口の中に吐瀉物の匂いが広がる。うがいしよ…。


「水よ…」


水筒を取り出し、そこに青属性の魔法で水を出し、うがいをする。あー、少しスッキリした。


「ミヤビさん凄いですね!青属性も使えるなんて!」

「ありがとうございます」


全属性持ちって教えるのはもっと仲良くなってからにしよう。どんな人か分からないしな。


また【探索(サーチ)】でゴブリンを探す。


「こっちです」


3匹いる。2匹はゴブリンだが、もう1匹はコボルドだ。


「じゃあ、私がコボルドを()りますね」


…漢字がおかしい気がするなぁ。気のせいかなぁ?いや、逆に合ってるのか…。腑に落ちないね。


「【水槍(アクアジャベリン)】」


空中に水で出来た槍が二本浮かぶ。加速するイメージで打ち出し、ゴブリン二体を一撃で倒せた。


「やはり魔法は早いですねぇ〜」


気絶している?コボルドを右手で引きずりながら話しかけてくる。


「あれ?今回は殺してないんですか?」

「あら?死んでますよ?ミヤビさんは血がお嫌いなようでしたので、血をなるべく出さないように加減してみました」

「そりゃ、どうも…」


すごい技術だ。口から少し血が流れてるだけで他は無傷に見える。その技教えてほしいです。


「さて、この調子で狩っていきましょうか」

「そうですね」


探索(サーチ)】をさらに広範囲にする。


「…?これは…」

「どうかしましたか?」

「どうやらゴブリンの集落があるようです」

「どちらですか!?」

「こっちです!」


急にウヴァさんの顔が険しくなり、集落の方向を教えた瞬間、普通なら目にも留まらぬ速さで森を駆けていく。


「見えました!」

「はぁぁぁぁ!!」


ウヴァさんが急に立ち止まって腰を落とす。

何をして…


「やっ!」


パァン!

掌底を空中に打った。恐ろしいほどに完成された掌底だった。

でもなんで急に…


「「「ギャギャ!!?」」」


疑問が浮かんだすぐ後、ゴブリンたちの悲鳴が上がった。集落の真ん中にある少し豪華な椅子に座ったゴブリンの首から上が無くなっているのだ。


「【飛燕】という技です。連発はできませんが、とりあえずゴブリンキングは倒しました」

「…」


本当に見た目と行動が全く違う人だな…。


「ギャ!!ギャギャギャ!」


1匹のゴブリンが僕たちを指差して仲間を呼ぶ。


「ゴブリンジェネラルまでいますね…ざっと100ってところでしょうか」

「ウヴァさん、休んでていいですよ」

「え?ミヤビさんお一人に任せるわけには」

「いえ、これから使うのは初めて使う魔法なので、巻き込んでしまう可能性があるんですよ」

「そういうことでしたら…」


ウヴァさんが後ろに下がったのを確認して準備を始める。


「【万里の長城】」


黄属性の魔法で土を操作し、集落を土の壁で囲む。これでゴブリンたちに退路はない。


「よし。今みたいにイメージで魔法が使えるなら…」


イメージは某有名ゲームの爆発魔法。全体攻撃、高威力。イ○○ズンと言いたいところだけど…やめておこうか。


「【エクスプロシオン】!!」


ズドォォォンン!!!!


衝撃波が僕らを襲った。土壁のおかげで尻餅をついた程度ですんだが…。


土煙が消え去ったあと、集落をいや、集落があった場所を確認する。


「…やりすぎましたかね?」

「や、やりすぎですぅ…」


綺麗にボウル状に窪んだ底の部分に、大小様々な魔石が散らばっていた。

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