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俺は意地でも異世界に行きたい  作者: 鱈子 摩耶
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自称神様と堂本相談室

俺は神のお遊びでこの力を得た。

自分の人生で最大の疑問だった事が単なる神のお遊びで与えられたと知り、悲しみよりも憎しみしかなかった。


「殴るだけじゃ気が済まない、お前のお父さんを俺は…この授かった…自分自身がお遊びで授けたこの能力によって…お前の…お前のお父さんを亡き者にしてやる!なんならお前でもいい、、神様だろうが知らないが、娘を殺されたらさすがに黙ってはいないだろう。」


俺は手を神様に向かって突き出し、そのまま魔力を込めた、実際の魔力の込め方がわからないが、なんとなく手に力を入れ、自分の生きてきた人生の中で最大の魔法を撃とうとしていた。すると、


「ま、待って!さ、最後まで話をき、聞いて!」

神様は俺に魔法を撃たれると思い少し焦りながら喋り始めた。


「さ、さすがにそれは娘として申し訳ないと思ってるわ、で、でもね!私もそのせいで苦労したんだから!」


「知るか、そんなもの父親を放っておいたお前の自業自得じゃないか。」


「そ、そうだけど…そうだけど!私のお父様はその時酔っ払ってて正常の判断ができなかったのよ!そうよ!全部お酒が悪いの!これでこのことは解決ね!よかったわね!」


「酒のせいにするなクズ。」


先程の俺の魔法に対する脅えようから判断するに、あの神様は俺より弱い事が判断できた。

なら、このまま脅して異世界に連れてってもらおう。それがいい。


「く、クズって…私神様なんだけど!少し敬意を払ってよね!そ、それにお父様その事件のせいで今、捕まっちゃってるのよ…」



「敬意を払うわけないだろ。はぁ…じゃあ、このことは水に流す、だから俺を異世界に連れてけ。」

このまま異世界に行けば俺の人生は大きく変われる、そもそも神様も捕まるのか?警察の神でもあるのだろうか?そこも少し気になったが、それよりも異世界だ、異世界に行けば全ては解決だ!


「それだけは無理よ。」


「なんでだよ!!」


なぜだ!なぜこの神は異世界に連れてってくれないのだ!あんなに怯えてたのに異世界という単語を聞いたら顔ば一変して真顔になり断られる。


「な、なんだって…面倒くさいからよ!」

女神は狼狽えながら喋った。


「なぜ、面倒なんだ?この世界から異世界に行くケースはそんなにも珍しいものなのか?」


「……ないの…」

彼女は下を向きながらちっちゃな声でブツブツと喋る。


「え?もう少し大きな声で喋ってくれないか?」


「異世界に転生させる方法がわからないの!」


彼女は顔を上げ頰を赤らめながら話す。





――――――「………ファイヤー。」――――――




俺は神様に向かって火炎放射の如く炎魔法を放った。

しかし、自分もあまり魔法を撃つ経験が浅かった為か魔法は数センチ右に逸れて神様には当たらなかった。


「あんた!今何したか分かってるの!?」


「お前こそ何を言ったいるんだ??神様が異世界転生させる方法わからなきゃ誰が転生させるんだよ。いや、そもそも俺死んでないから転移だな。」


「だ、だからって神様向かって炎魔法撃つ奴がどこにいるのよ!…そ、それに転移も出来ないからね!残念でした!」


彼女はドヤ顔で言い放つ、どこにドヤ顔するセリフがあるかわからないがもう反応するのも面倒になって来た。そもそも、転移出来ないと知ってしまった以上、ここにいる意味がない。

帰りたい。

帰って予約していたゲームを買おう。

そして、帰って飯を食おう。


「…はぁ…わかったよじゃあ俺帰るから。」


しかし、異世界に行けないのは惜しいな、くそ、異世界で魔王倒したかったな。

俺は帰ろうと彼女から背を向ける、しかし、自分の目に写っているものは暗闇だけだった。

冷静に考えれば簡単だ、考えてみればそうだ、俺は気を失ってここにいるのだ、帰り方なんか分かるわけない。

そうして、俺はまた彼女の方に体を向ける。


「なぁ、もう帰るから帰る方法教えてくれ。俺も暇じゃないんだ。」


俺はゲームを買いにゲームショップに向かっている最中で気を失った。

なので俺はまだゲームを買えていない。

早く俺はそのゲームを買いプレイしたい。

そうだな、異世界に行くのはそのゲームをクリアしてからにしよう、そうするか。




―――――――「嫌。」―――――――




「……なるほど……。」


どうやら彼女は、イヤイヤ期らしい。

俺は帰りたいからそう言うのやめてほしいな。

もう、反論する気もないのに、どうしてこんなことするのだ彼女は。


「…何が不満なんだ?言ってみろ。相談に乗ろう。」

俺は大人の冷静さを醸し出す。

実際俺は高校生だが、未成年なのだが、なんとなく、大人の冷静さを醸し出す。

こうなった以上彼女の意見を聞き、それを解決しよう。


さあ、堂本相談室がオープンしたぞ。


「……わ、私をそ、その、、く、クズと言ったから、、、」

彼女なぜか頰を赤らめている。

こんな事で見栄を張る自分が恥ずかしいと思ったのだろうか?よくわからん。


「……そうか…それはすまなかったな、俺も気が立ってた。」


俺はとりあえず謝っておけば何とかなると判断した。

だからこそ今はとりあえず謝っておく。


「ね、ねえ…あなたの世界はあなたのような人ばかりなの?」


「というと?」


俺のようなばかりとは、魔法が使える人というとことだろうか。


「あなたのように神様に向かってクズとかいう人たちばかりなの?」


「あっ……」


そっちね。

どうやら彼女は神より下にいる人間に暴言を吐かれたことを根に持っているらしい。

非常に面倒くさい。

早く帰りたい。


「い、いいえ、僕のように神様とあろうものに汚い言葉を使うのは極々少数のみですよ。」


「少数って何人くらいなの!?」


神様は前のめりになりながら聞いてきた。

この話題にとても食い付きがいい、やはり根に持っているっぽい。


「正確にはわかりませんが、さすがに気にしない方がいいですよ。人間なんて何かを否定したがるものなのです。例えば、幽霊なんて信じる人と信じない人がいるでしょう?……そ、そんな感じです。」


なんとなく話しておく、そろそろ納得してくれ。

すると神様は身体を震わせながら喋り始める。


「…めよ」


「はい?」


「ダメよ!神様に暴言を吐く奴らを成敗しないと!」


神様は目を光らせながら言う。


そうきたか、なるほど…やはり帰ろう早急に。

なんかやばい予感する…。


「そ、そうですか…で、では頑張って下さい。応援してますよ。なので、とりあえず帰らせてはくれませんか?」


「何言ってんのよ?貴方も手伝いなさい!」


やはりきた。やはりきたよ…もう帰りたいって言ってんのにこいつ…面倒ごとはしたくないんだけど。


「さ、さすがに神様の手伝いなど身が重いですよ。俺はとりあえず帰りますね。帰らせて下さい。」


「私の手伝いをすると言うまで帰さないわよ?」


彼女はニヤリとこちらを向く。

こちらも我慢が限界だ。リミットを解除させていただきます。

皆さま大変申し訳ありません。堂本相談室、これより閉店とさせていただきます。


「いいから……いいから帰らせろよ……このバカミサマが!」


「んな……!」

神様は驚きの表情を見せている。

どうだ、我の最終奥義、とりあえず大声で暴言くだけの奥義。

それしか俺には技がない、魔法以外は。


「許さないわ!こんなに侮辱されたのは生まれて初めてよ!まって…初めてじゃないかも…。」


彼女はどうでもいい事に頭を悩ませている。


「そ、そんな事はどうでもいいの!とりあえず私を侮辱した罪を払ってもらうわよ!いい?これは義務よ!」

彼女は人差し指を俺に向けた。どうやら俺は彼女の手伝いをするらしい。

なるほど、絶対やだね。


「嫌だ、早く帰らせろ。さもなくばまたお前にさっきの魔法を撃つぞ?今度は絶対外さない…」


俺は手を彼女に向かって突き出し手にまた、魔力を込める。

「帰らせないと撃つぞ?自称神様。」


「わかったわ……帰らせてあげる。」


「やっと分かってくれたか。」


やっと帰れる。

やっと飯が食える。

そう思うと異様に腹が減ってきた。



「その代わり…」


彼女の表情から見るに、妙な考えをしている事が分かる。

するとやはり、彼女はとんでもない事を言い放つ。



「私も一緒にその世界に行ってやるわ!」


そう言い放った瞬間俺の後ろから光が見え始める。

突然何もなかった場所に大きな光のドアの様なものが出来た。


「なんだ…これ…。」


俺は開いた口が塞がらなかった。

すると俺の体はみるみる内にその光の方へ行く。

どうやら、俺は吸い込まれているらしい、もう抗っても抵抗出来ないほどの吸引力をあの光は持っている。

なんかダイ◯ン見たい。

そんな事を考えてる内に光の中へ俺の体は吸い込まれていく。

光の中へ吸い込まれている最中、遠くから何かが聞こえた。



「ち、ちなみに!私は自称神様じゃなくて神様だから!そこはしっかりしてよね!」


その声から判断するにとても怒っているように感じ取れた。

きっと声の主はさっきまで話していた神様だろう。

そう思うと腹が立った。


「後で絶対あいつを捌いて異世界に行ってやる……!」


そう頑なに決心した堂本 佐介であった。




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