アフター・セイヴァーズ
世界に魔族が蔓延り、人という一つの種族が終わりが迎えようとしたその時、彼等は現れた。
一人「あらゆる敵を断ち切り、常世の全てを救う伝承の勇者。」
一人「あらゆる敵を打ち砕き、先陣を切り開く伝承の戦士。」
一人「あらゆる物を操り、魔術の全てを手中とする伝承の魔法使い。」
一人「あらゆる傷を癒し、万物に愛を与えし伝承の癒術師。」
その四人の伝承の存在により、世界は魔王より解放され、魔物も温厚になり、世界より受け入れられ、平和へと世界は進んでいくーーー。
これは、それから15年後のお話。
「ししょー!ししょー!見てください!マンドラゴラですよ!あの葉っぱ!」
少女はぴょんぴょんと飛び跳ねながら ししょー に呼びかける。
「おいおい、待ってくれぬか、ヒストリア。」
「ししょーが走るのが遅いんですよーだ!」
「そうは言ってもだな...」
「これ!抜きましょう!材料になりますよ!」
「ちょっと...だから...待って...くれ...」
息を切らしながらししょーは返事する、しかし相変わらず足は遅い。
「ししょー遅いです!もう抜きますからね!」
「駄目だ...駄目だぞヒストリア...ぬい...たら耳を塞ぐんだ...」
「はーい!わかりました!さーんにーすっぽーん!」
「んなっ...!?い、イア・クロッシン・コルク...!」
彼女が言葉を紡ぐと、するりと少女と彼女の耳にコルクが詰め込まれる。
その瞬間。
「キェアアアアアアアアア!」
この世の終わりの様な声が当たり一帯にこだまする。
「ぐっうぅぅ...きもちわるうぅぅい!」
ヒストリアがそう叫び、右手でビンタすると、マンドラゴラはピッタリ泣き止んだ。
「ヒストリア、良くやった。さぁ帰ろうか」
「はい!これで皆さんも喜びますね!」
「あぁ、久しぶりの再会だからな。お土産くらい、用意していかなければならぬからな。」
彼女が指を鳴らすと、次の瞬間二人の姿は、森の中から消え、一軒の家の前に移動していたのだった。
「どうせなら買い物も済ませてしまおうか。ヒストリア?」
「はいっ!ししょー!出発です!」
そう言うと、二人は、最寄りの商店へと消えてゆくのであった。