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03.暗闇

 真の暗闇とは、心の闇のことであろう。

 宗一郎は、そう思っている。



 山上は、山の上にある。

 街灯も少なく、夜ともなれば帳が下りてくるように、暗くなる。

 村上の者は夜を怖がり、雨戸を閉め、ドアを施錠する。

 けれども、宗一郎は数少ない例外だった。

 この日もガラス戸越しとは言え、夜空を眺めていた。

 季節が良い頃なら、ガラス戸を開けるのだが、まだ夜は寒い。

 仕方なく、ガラス戸を閉める。


 静かな夜だった。

 風さえ渡るのを遠慮しているような、そんな夜だった。


 暦の上では春を迎え、空の方も季節が移り変わろうとしていた。

 銀の鈴を隠すように薄っすらと雲がたなびいている。

 ぼんやりとしたその雲の風情が、春らしかった。


 こんなに美しいと言うのに、どうして人々は恐れるのだろうか。


 真に怖ろしいのは、心の闇。

 そこに巣食うものが、一番怖ろしい。

 本人すら無自覚に飼うモノ。

 普段は目につかない。

 しかし、一旦心からあふれてしまえば、陽光ですら浄化できない。

 手を焼くそれの名は、……感情。



 宗一郎は、己の中のそれに、ため息をついた。

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