表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/53

04.五月雨

 とうとう、禁止令が出た。

 村上家全体に及ぶものではなかった。

 小さな「燈子」のみに課せられたのだ。

 燈子は泣き腫らした目で、その紙を差し出した。

 綺麗な透かしが入った便箋に、涙でにじんだ文字が並んでいた。

 口で伝えたら、また泣いてしまうから、と。

 宗一郎は静かにそれを受け取り、ガラス戸を締めた。

 ぴったりと、空気すら立ち入りを拒むように。


 燈子の両親は、外者だ。

 村上の血を引くが、外で育った。

 二人が結婚したのも、自由意志であり、子どもをなしたのも自由意志であった。

 だから、あの両親から見れば、この閉鎖的な環境は心を蝕ませるには充分だった。


 宗一郎は、燈子からもらった手紙の文字を追う。

 簡潔な名文だ。

 一度、読めば覚えてしまう。

 それでも、宗一郎はくりかえし文字を読み、ためいきをつくと同時に、文机の引き出しにしまった。


 五月雨のように、心が乱れる。

 悲しいよりも、寂しいよりも、ただ……辛い。

 宗一郎は、文机に突っ伏した。







 これからは、会えません。

           燈子

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ