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第9話「リンゴの精霊と契約した件」

 オリハルコン金属は神の領域の金属だという。

 僕が答えにくそうにしていると、グリーバスは深く追求してこなかった。

 

 ただ、このアイポンは『神様に貰った』と、だけ伝えた。

 僕も信じてないけど、グリーバスがどう思うかは別としてね。

 その後、グリーバスと一緒に動画編集して投稿を済ませると、お礼を述べ店を後にした。

 店の外ではスライムが待っててくれていた。僕達はスライムに跨る。 

 投稿動画も合計で4つになったので、シェリルと一緒に成果を見ていくことにした。

 

 =異世界ヨーチューバー=

 チャンネル名:ゆうなまTV

 アカウントLv:2

 チャンネル登録者数:9807

 投稿動画数:4

 獲得ポイント:12943P

 使用可能ポイント:11881P


 =投稿動画リスト=

 ・とある道具で火をつけてみた:再生回数47050回 

 ・ステーキソースで食べる:再生回数34570回 

 ・スライムをペットにしてみた:再生回数17601回 

 ・ライターの試作品が完成しました:再生回数20056回 


 最新動画は再生数いきなりの2万超え!?

 グリーバスが自分のチャンネルでリスナーを誘導してくれていた。

 ライターの試作品の動画の再生数がガンガン伸びていく。

 この勢いだと5分後には3万超えてる可能性だってありそうだ。

 他の動画も相乗効果でガンガン再生されている。

 

 使用可能ポイントも1万を超えた。

 再生数はほっといても増えていく。

 一度人気がでれば飽きられない限りいけるかも。

 グリーバスが僕のチャンネルに起爆剤を与えてく入れた。

 マジで感謝だ!


「ユーキ、これって調子いいの?」

「うん、グリーバスのおかげで、めちゃくちゃ調子いいよ。武器まで無料で貰ちゃって、シェリルのおかげだよ」

「そ、そんなことない。シェリルは何もしてないよ」


 ほんと順調過ぎる滑り出しだな。

 そうなってくると、自ずと意識してしまう。

 ランカー達の存在を。ランキング上位を見てみる。


 1位、魔女っ子ちゃんねる。

 チャンネル登録者数520万人。 

『魔法の有効活用を紹介してます』


 2位、勇者アルスのちゃんねる。

 チャンネル登録者数380万人。

『世界を救うためにもチャンネル登録を頼む』

    

 3位、グリーバス工房。

 チャンネル登録者数360万人。

『新作が完成したぞい。詳しくは、ゆうなまチャンネルで紹介しとるぞ』


 4位、世界征服ちゃんねる。

 チャンネル登録数280万人。

『魔王である妾を応援してる諸君は世界征服後も可愛がってあげるぞよ』


 5位、貴族のレストラン。

 チャンネル登録者数235万人。

『雑魚ども、これが貴族の料理だ。ゲテモノ料理も紹介してるぜ』


 勇者と魔王が配信してるチャンネルはやはり人気のようだ。

 5位のチャンネルは、内容がクズすぎる。

 奴隷に無理やりゲテモノを食わせてるような胸糞悪い動画が多かった。


「酷い内容だね……」

「ああ、これならまだ女魔王様のチャンネルのほうが遙かにマシだな。世界征服だとか中二ぽいこと言ってるけど……」

「シェリルもそう思う。この貴族の目付きいやらしい。で、ユーキこれからレベル上げするの?」


 レベル上げするために武器を調達しにきたけど、スリングショットなんて使ったことがない。練習も必要だけど僕にはスライムは狩れないぞ。


「それなら、シェリルの光の精霊で練習したらいい。光の精霊に物理攻撃は効かない。ただ、その短剣はダメ。魔力付与されている。光の精霊もダメージを受けてしまう」

「なるほどね。じゃあもし、この鉛玉に魔力付与したらどうなる? やっぱ精霊にダメージ入るの?」

「入る。練習用とは別に魔力付与されてる玉もあったほうが、いいかも」


 何にしても命中しないことには、魔力付与もへったくれもない。

 とりあえず家の庭で練習だ。


 そんな訳で家に戻って来たのだが……。


 改めて薬草畑を見ると切ないものを感じた。

 なんとかしてあげないとだ。


 そこで僕は思いついた。

 シェリルは植物の成長活性のスキルを持っている。

『アナザーリスト』で種を買って育ててみたらどうだろうか。


「シェリル」

「どうしたの?」

「畑に種を植えてみようか」

「ユーキ、もしかして気にしてる?」

「まあ、この惨事は僕にも飼い主としての責任があるからね」

「気にしないでいいの。シェリルはもう気にしてないよ」


 僕は果物を3個、交換した。

 そのうち1個をシェリルに渡す。


「これはなに?」

「それはリンゴっていう果物だよ」


 ひょっとしてこの世界にリンゴはないのかな?

 

「食べてみなよ。美味しいと思うよ」

「うん……」


 僕はリンゴにかじりついた。うん、とってもジューシだ。

 やっぱり食べ慣れた元の世界のモノは美味しい。

 シェリルもがぶりついた。


「とっても甘くて美味しい」


 シェリルは満面の笑みを向けてくれた。

 スライムがプルプル震えてる。


「たーんと、お前の分もあるぞ」


 スライムもリンゴを食べて満足そうだ。

 リンゴの芯には種がある。

 この種を植えて育てることってできるのかな?


「これ、リンゴの種なんだけど、植えたら育つかな?」

「うん。精霊力を注げば育つと思う」

「おし、じゃあ種を植えてみよう!」

「うん!」


 僕達は薬草畑にリンゴの種を植えていく。

 そこにシェリルがジョーロで水をまいていく。


 芽が出たと思った矢先、物凄い勢いですくすくと成長していく。

 あっという間に木になり真っ赤なリンゴを実らせた。


「す、凄いよシェリル」


 当の本人が呆然としていた。


「そんなに驚いてどうしたの?」

「いくら精霊力を注いでもここまで急成長はしない。しかもこの木には精霊が宿ってる」

「へ?」

「シェリルに契約を求めてきた」

「……マ、マジで? ほ、ほらここって、薬草畑だったしスライムみたいに急成長したってことじゃないの?」

「わからない、わからないけど凄く嬉しい」


 何にしてもシェリルが喜んでくれたなら、僕も嬉しい。

 リンゴの精霊かあ。どんな精霊なんだろう……僕も楽しみだ。

 シェリルの全身が淡い光に包まれた。契約が完了したのかな?


「精霊さん姿見せないの?」

「シェリルと一緒で恥ずかしがり屋さん」

「それは残念だなぁ……で、そのリンゴの精霊さんは何ができるの?」

「自然の植物を自由自在に操ることができるって!」


 リンゴの枝が伸びてきた。

 

「ひょっとして、ここ握ったらいいの?」

「うん、ユーキに挨拶したいって!」

「ふ、ふむ。そうなのか」


 リンゴの枝と握手したのは初めての経験だ。

 

 それから僕はひたすらスリングショットを、的役になってくれてる光の精霊に撃ちまくる。

 散らばった鉛玉はリンゴの精が集めてくれて、手渡してくれる。

 必中とまではいかないものの5メートルほどなら、それなりに狙いを定めることができるようになってきた。

 

 けれども慣れない運動で、へとへとになって来たので、レベル上げは明日にしよう。

 使用可能ポイントも1万ポイント超えて再生数も順調に伸びていることだし。


 待ちに待ってたドラム缶を買うポイントは十分に貯まっている。

 ほんとはちゃんとした風呂に入りたいけど、新米ヨーチューバーじゃ贅沢は言えない。


 日本人の僕には風呂は欠かせないからな。

『アナザーリスト』でドラム缶を交換した。

 1万ポイント吹っ飛んだけどね。


「ユーキ、それはなんなの?」

「これはドラム缶さ」

「ドラム缶?」

「うん、この中に水を入れて沸かして入るんだよ」


 僕の言葉でシェリルは理解した。

 今までにないほどの期待を寄せられてる。


「よーし! お風呂作りを始めよう!」

「うん!」


 そんな訳で僕達はお風呂造りを始める作業へと移った。


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