ひとめぼれ
どうしょう
あの後の記憶がない。
何度も何度も勝手に流れる映像は
私を虜にする。
あれはいつ頃だったろう。
夏頃か秋頃
どんな制服だっただろう。
カッター?ベスト?セーラー?
…分からない。
外は晴れ?曇り?雨?
…分からない
ただ君の事しか思い出せない。
私は席に座ってノートを開いていた。
そして消しても新たにできる落書きを一生懸命消しゴムで消していた。
『もー、止めてよ。』
一向に収まる気配のない2人にとりあえず言ってみる。
スパッと止めてくれたらありがたいが、それでは面白くない。
じゃれて遊んでいるだけだがこの2人はいつも度が過ぎる。
最初は楽しいんやけどなかなか飽きてくれずさらに過激な事をしよる。
痛いって言ってんのにそれ以上の力で叩きよるし、半泣きになっても止めよらへん。
ほんまたち悪い。
仕返ししたら後がややこしいし面倒くさいから…いつも我慢。笑いながら『もー止めてーや。』
それが私の毎日。だから今日も大人しくいじられていたのに…
ほら、度がすぎる。
ノートには蛍光ペンの落書き。
シャーペンから変わってしまった。
これはさすがに消しゴムでは消えんぞ。
ニヤニヤしながらどんな反応するんか見てる。
はーっ。
『消えへんやんかー。』
分かってるけど一応こすってみる。
提出するときどないすんねん。
破こうか?
修正テープ?
もー。