表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

愛のカタチ


 馬鹿みたいな愛し方がされたい。


 とても疲れた。

 私は強いから、一人でも大丈夫だろうって。

 私は我儘だから、一緒にいたら疲れるって。


 愛して人は私から離れていく。

 私のことを全肯定してくれる人に愛されたい。 

 馬鹿みたいに、私を溺愛してくれる人、そんな人にいてほしい。


 その願いは決して叶わない。

 だから、私は、私の魔力をすべて使って、私を愛してくれる存在を生み出した。

 人に似せた人形に、私の魔力を入れる。


 彼は、私を主人と敬い、私を愛してくれた。

 私のすべてを認めてくれた。


「キャリー。どうして、なんで、そんなことを」


 私を見た人は言葉を失う。

 だけど、私は構わない。

 彼がいつも私の傍にいるから。

 


 僕は、僕が人形であることを知っている。

 キャリーのために作られ、彼女の魔力で意志を持った人形だ。

 彼女はとても大切な人。

 彼女の知り合いが彼女を見る度に悲鳴を上げたり、言葉を失ったりするのが最初がわからなかった。

 だけど、僕に教えてくれた人がいた。

 その理由を。

 彼女は僕に魔力をすべてつぎ込んだせいで、若さを失った。

 僕が生まれる前、彼女は金色の髪に、緑色の美しい女性だったらしい。

 今でも彼女はとても綺麗。

 彼女は僕の女神。

「お前の愛は紛い物だ。本当ならば、キャリーに魔力を返せ」

 ある男が執拗に僕に話しかけてきた。

 キャリーはいつも僕に言う。

 今がとても幸せだと。

 僕が側にいるのがとても嬉しいと。

 僕が魔力をキャリーに返したら、僕はただの人形に帰ってしまう。

 キャリーは悲しむだろう。



 彼は最近、面白いことを聞く。

 元の姿に戻りたいかって。

 若くて魅力的な私。誰もが私に理想を押し付け、それと違う私に絶望していなくなった。

 そんな感情いらない。

 今は誰も近づいてこない。

 彼だけが私の傍にいて大切にしてくれる。

 若さを失った私におかしな情熱もなくなり、彼と二人で静かに暮らす時間が好きだった。

 だから、彼に答える。

 元の姿にもどらなくていい。

 彼が側にいることが私の幸せだって。


 愛するとはなんだろう。

 愛する彼女を元の美しい姿にもどすために、僕は魔力を返すべきなのかな。

 その人は何度も僕に言う。

 彼女はとても美しかったって。



 どうして、どうして彼はそんなことをしたのだろう。

 彼はナイフを自分の心臓に差した。

 

「キャリー。僕は君を愛している。本当だよ。だから君に魔力を返す。綺麗な君に戻るように」


 彼が事切れ、魔力が私の元へ戻っていく。

 しわくちゃだった皮膚に張りが戻っていき、髪色が金色になっていく。

 瞳が濁った灰色から緑色へ。


「綺麗だ。キャリー」


 以前、私が愛した男がそんなこと言って近づいてきた。

 だけど、私の心は動かなかった。

 どうして、死んでしまったの?

 私はとても幸せだったのに。

 どうして。

 彼を失った世界は、とても美しく思えなかった。

 私は若さを色を取り戻したけど、世界は色を無くした。


 彼は人形。

 魂なんて存在しない。 

 私がかつて愛し、彼をそそのかした愚かな男が言う。

 そんなのわからないわ。


 私は彼が使ったナイフを使って、命を絶った。

 消えゆく意識の中で、彼の微笑みが見えた気がした。



 

  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ