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ここは何処?
私は誰?
一度言ってみたかった気もするが、実際になってみると実に不思議だ。
気が付いたらここにいた。
360度。見渡す限り真っ白な世界。
足元に影すらできないここが一体どこなのか、そして一体いつからここにいるのか。
時間の感覚すらないここでは、眠くなることも空腹を覚えることもなかった。
出来ることといえば考えることだけだが、自分の名前すらわからない現状では、何を考えていいかすらよくわからない。
いや、考えたくないのかもしれない。
時折、どこかから音が聞こえる。
誰かが泣いているような音。声というにはぼんやりとし過ぎていて、音としか言いようがないのだが、どこかで聞いたことのあるような懐かしい音。
不意にキンとした音ならぬ音が耳を刺し、激しい頭痛に襲われた。
「…っ!!」
思わず私は目を瞑り、頭を抱え込んだ。…が、痛みは一瞬で去っていった。
一体何だったんだ…
目を開けると辺りの様子が少し変わっていた。
上下左右もよくわからなかったそこに、灰色の道が一本、突然出来ていたのだ。
それを目で辿ればその先には木製の一枚扉。
そしてその後ろにまた灰色の道が続いている。
あれ、なんか意味あるのか?通せんぼ的な何かか?
とりあえず扉に向かうことにする。
まぁ、ずっとここにいるのも何だしな。




