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二人の女性

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「フォースィ、この度の密命。本当にご苦労様でした」

　保養に来ていた銀の髪を持つ少女は、目の前で跪く黒髪の僧侶に背中を見せながら声をかける。

　自分よりも遥かに年上の、いや数代前の先祖と同じ年齢の彼女に対して銀の髪の少女は怯む事なく、堂々と背中で語りかけた。

　彼女は、窓から見える広場に転がる無数のゴブリンの躯を見降ろす。

「あなたの報告にあった蛮族達の妨害や洞窟で受けた襲撃。そして殆ど知られていないこの場所への奇襲………さすがに、全てを偶然で片付けられるものではありませんね」

　フォースィは何も答えなかった。

　自分自身でもこれが任務の妨害、又は王女暗殺を目的とした行動である事は予想できるが、証拠もなしに口に出す事はできなかった。

「あなたは慎重ですね」

　銀髪の少女は、ようやく振り返り小さく笑う。

「ですが、私も座して殺される訳にはいきません」

　蛮族に負けない力が、自分の身を守る力が必要だと銀髪の少女は拳を握る。

「あの二人を、私の名で王国騎士団に推薦しましょう。騎士団の中にも味方を作っておいて損はないはずです」

「はい」

　フォースィは短く答えた。それだけに留める。

　王国騎士団に入れば、冒険者よりも安全に、遥かに良い給金を手に入れる事が叶う。借金に追われ、教会を守る為に過ごしてきたタイサにとっては、良い話になるだろう。もう一人とは今日初めて会ったが、タイサとの関係は良く、彼もまた力になってくれるだろうと彼女は感じる事ができた。

「さぁ、フォースィ。私に二人を紹介してくれますか？」

　銀髪の少女はフォースィの横を通り過ぎる。