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Lost19 紅と蒼  作者: JHST
第七章 蛮族急襲
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④中央広場

 四方の大通りが交差する中央広場は、逃げ場を失った住民達で溢れかえっていた。広場は比較的赤レンガで造られた建物で囲まれており、周囲の建物は王国騎士団と冒険者が抑えており、屋根伝いに近付いてくるゴブリン達を順調に迎撃している。

 また東西南北の大通りも、戦える者達と動ける住民達が障害物(バリケード)を並べて、地上から迫るゴブリン達を防いでいる。女、子ども、老人達は鐘楼の根元にある教会の中に避難し、誰もが両手を合わせてこの状況から逃れるように祈っていた。

 

 屋根伝いに進んで来たフォースィは、中央広場の建物に入り込み、そこから地上へと降りる。


「ギルドと騎士団の指揮官はどこにいるのかしら?」

 フォースィは広場で住民を誘導していた黒銀の騎士に声をかけた。

 男は忙しそうに教会の隣の建物を指さす。そこでは冒険者と騎士が何度も出入りしていた。フォースィはすぐにその建物に入ると、そこでは大きな机を挟んで騎士と冒険者ギルドのオーナーらしき男が声を荒げ合っていた。


「現場の指揮官はどちら?」

 二人の言い争いを無視する様に、フォースィが剣呑な雰囲気の間に割って入る。会話を止められた騎士とオーナーの二人は互いに睨みを利かせてから、明らかに不機嫌な顔で彼女を同時に睨みつけた。

 この先の文言は容易に想像できる。

 フォースィは先手を打った。

「私の名はフォースィ、冒険者ギルドに所属する二つ名持ちの神官です。加えて先日、銀龍騎士団長のデル殿から、残された騎士団の支援を直接依頼されています」

 冒険者としても最上級、さらに銀龍騎士団団長の名前を出して双方の口を強制的に閉じさせる。


「………話は団長から伺っています」

 黒い長髪の騎士は小さく咳ばらいをすると、テーブルに広げられた街の地図をフォースィに見せた。

「私は銀龍騎士団所属のエーベルンです。デル団長に代わり、ここでの戦闘指揮を執っています。よろしければ、意見を聞かせて頂きたい」

 それでいいかと、エーベルンはギルドのオーナーに視線を向ける。細身だが筋肉が締まっているスキンヘッドのオーナーは、彼女の名前を聞くや、態度を柔らかくして参加を歓迎する。

 エーベルンが引き続き、現状を説明する。


 蛮族は東西南北全ての大通りの屋根を占拠して、住民達を無差別に攻撃している。常に頭上を取られており、裏路地からの避難誘導だけでなく、攻撃や迎撃も思うように転じられていない。

 城壁で戦っている騎士を含め、動員できる騎士は凡そ五百名。既に各大通りの誘導と迎撃に百名ずつ派遣しており、残りはこの中央広場で陣を築いている。数字だけ見ればかなりの数だが、街の規模で見れば騎士の数が絶対的に少なく、十分に住民を守れているとは言い切れない。

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