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Lost19 紅と蒼  作者: JHST
第七章 蛮族急襲
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③突破

 このままでは背後からも挟まれる。そう判断したフォースィは辺りを見回し、イリーナの右側に裏口の扉が僅かに開いている事に気付く。

「イリーナ、右の扉を!」

「はい!」

 イリーナは扉を蹴り破り、蝶番ごと粉砕する。

 家の中は誰もいなかったが、朝食の残りや竈の燻ぶりが見て取れた。

「お師匠様! 何だか森の中で戦った奴らよりも手強い気がします!」

「ええ、油断できないわ」

 大通りも裏路地も使えない。ならばと、フォースィ達は階段を駆け上がり、上を目指す。


 二階に上がると、既にゴブリンが天窓を破って部屋の中へと入り込んでいた。イリーナはすぐに飛び出し、腰の武器を抜き始めたゴブリンの下顎を右足で蹴り上げると半回転、浮き上がったゴブリンが天井に刺さる前に左足で横に薙いで、窓ガラスを破って大通りへと突き落す。

 フォースィはベッドに入ったまま毛布の上から剣を突き立てられていた男の子の姿を見て、目をゆっくりと目を瞑る。そして小さく息を吐き、破られている天窓を指さした。

「屋根を飛び越えながらギルドを目指すわ。危険なのは変わらないけれど、上や細い道から襲われるよりかは幾分かましでしょう」

 フォースィが魔導杖を掲げ、二人の前に淡く薄い障壁を発生させる。これでしばらくは遠距離からの攻撃に耐えられると彼女は説明し、先に天窓を飛び出した。


 屋上に上がると、街の凄惨さが良く分かる。

 ゴブリン達は次々とバードマン達に運ばれ、街の中に逐次投入されていく。しかも場所は東西南北と街のあちこちに降下し、街の安全な場所が一体どの方向なのかさえ分からない。地面を走る住民ならなおさらである。

 四方を守る城壁と扉は街の人々を守る盾ではなく、巨大な檻と化していた。

 フォースィが大通りを見下ろすと、冒険者達が何かを叫びながら住民達を必死に誘導し、蛮族達と交戦している。


「まだギルドは無事ね。予定通り中央に向かいましょう」

 フォースィはイリーナと共に屋根伝いに建物を飛び越え、遠く突き出た鐘楼を目指す。ゴブリン達の放つ矢を避け、さらに大通りに向かって弓を構えるゴブリンを背後や側面から突き落としながら進んでいった。

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