表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost19 紅と蒼  作者: JHST
とある僧侶の記憶
77/109

⑦今日と明日の分水嶺

 しばらくすると、イリーナが戻ってきた。

「お師匠様。デルさんが、お帰りになられました」

「ご苦労様。何か変わったことはなかった?」

 フォースィは作法を恐れる事なく主祭壇に寄りかかると、軽く右手を振る。


「近くに野生の狼が群れていたので、追い払っておきました」

 静かな笑顔で答えるイリーナ。その彼女の手にフォースィが視線を送るが、いつもの幼い手と色だった。


「………そう。お疲れ様」

 フォースィはそれ以上何も言わない事にする。

「私達は、王国騎士団に力を貸す事になりそうよ。良かったわね。明日から彼らの用意する部屋と食事で休めるわ」

 王国騎士団に貸しを作っておけば、王宮の人間と繋がれる可能性がある。そしていずれは、勇者一行の祖先とされるバージル宰相と会う機会が得られるかもしれない。フォースィは、依頼を終えた二手、三手先の事を考え始めていた。


「そういう訳だから、今夜の内に荷物をまとめておきなさい」

「分かりました。お師匠様!」

 どこまで理解しているのか分からないが、イリーナは元気良く返事をすると、自分の背嚢に向かい、周辺に置かれていた荷物を手際よく詰め込んでいく。

「さて………鬼が出るか蛇が出るか」

 デル達が騎士団の一部をつれて先発し、その残った者達の支援を引き受ける。報酬は、王国騎士団が用意した水や食料を含めた物資の譲渡。そして、幾らかの謝礼金。

 少しは、水増ししても罰は当たるまいとフォースィは内心で微笑み、鞄から古書を取り出すといつものように睡眠前の読書に時間を使い始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ