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Lost19 紅と蒼  作者: JHST
第六章 ゲンテ
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①新たな街へ

 ゲンテの街は、ブレイダスから馬車で半日の距離にある王国の極東に位置する街である。

 大都市である王都やブレイダスと比べれば見落とりこそするが、それでも赤レンガの建物も石畳で舗装された大通りもあり、人工においてもアリアスの街と比べればかなり規模が大きい。

 ギュードの依頼にある集落までは、ここからさらに馬車で数時間の距離があり、実質ゲンテの街が最後の休息地となる。


 訓練学校の未来ある若者達を限界まで痛めつける(教育する)『お務め』を済ませ、校長から蛮族達に関する情報を得たフォースィとイリーナは即日、馬車に乗ってこの街まで辿り着いた。

 二人は城門前で旅馬車から降りると、西門で簡単な手続きを済ませ、石で組まれた城壁をくぐる。

 既に時間は夜。夕日は落ち、門を抜けた広場では遅番の騎士が昼番の騎士と簡単な打ち合わせを行い、交代を始めていた。門ではまだ受付を済ませていない旅人や商人達が列をなしているが、あともう数時間もすれば列も解消し、外壁の門は閉ざされる。


「お師匠様………まさか、また教会ですか?」

 不安そうな顔でイリーナが見上げてくる。

 既にフォースィは門の受付にいた騎士に確認を取っており、やはりブレイダスの時と同様、それなりの宿は全て王国騎士団の名で抑えられている事が分かっている。

「………まずは冒険者ギルドに行って、まだ空いている宿があるか聞いてみましょう」

 ギルドならば冒険者の為に部屋をある程度確保しているかもしれない。フォースィは情報収集も兼ねて、ギルドに向かう事を決めた。


「申し訳ありません。既に泊まれる部屋はないんです」

 ギルドに入るなり最初の一歩、こちらから聞く前に受付の女性に断られた。エプロン姿の女性はギルドの入口前に立ち、フォースィ達と同様にギルドに入ろうとしてきた冒険者の男性にも同じ言葉を伝える。

「ではギルドの待合室でも構わない。ソファーを使わせてはくれないか?」

 男が食い下がっている。

 だが受付の女性は、それも無理だと申し訳なさそうにギルドの中を見せた。

 男の後ろからフォースィもギルドの中を覗くと、既に多くの冒険者達がソファー、床、ついには壁に体を預けて夜を過ごしている冒険者達で溢れかえっていた。

 文字通り足の踏み場がない。


「低価格の安宿ならまだ空きがあると聞いていますが………」

 女性は男性の装備を見ながら、一応声をかける。

 だが案の定、装備の良い彼はその提案を良しとしなかった。フォースィも横で聞いているが、泊まれる場所がないといえ、やはり安宿には難色を示す。


「仕方ないけれど、やはり教会に泊まる事にしましょう」

 まだ話を続けている彼の横で、フォースィはイリーナに声をかけて早々に教会へと向かう事にした。

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