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【夏のホラー2024】秋乃ver.

消えたい人はいますか?

 消えたいな〜

 明日世界が爆発したらいいな〜

 あわよくば安らかに死にたいな〜


 みたいな気分だったら、ちょっと読んでみてほしい。


 お盆が終わって、夏休みも過ぎて、残暑の疲れが出てくる頃だから。


 冒頭に挙げた「気分」は、希死念慮と呼ばれるものなんだけど、これって、疲れている人に取り憑くオバケみたいなヤツなの。


 仮に「ネンリョ氏」と名づけるね。


 ネンリョ氏は、どんなに心身健康な人も、老いも若きも関わらず、影のように傍にいる。

 この存在にフタをしてしまうと、ネンリョ氏は暴れ出して取り返しがつかなくなってしまうんだね。困ったね。


 まずはネンリョ氏と対話してみて。

 彼の奥底には必ず傷がある。


「こんなふうに言われて嫌だった」

「どうしてこんな風になっちゃったんだろう」

「やりたいことがあるのに上手くできない」

「こんな自分が情けない」

「惨めで耐えられない」


 こういう傷に、バンソウコを貼ってやってほしいんだ。

 例えば以下、用例。


「クソみたいな環境で一日耐えた」

「ご飯食べた」

「無気力だけど、とりあえず生きた」

「この十五分は呼吸した」


 とりあえず血を止めないと、傷口はどんどん化膿する。

 腐食し始めるとバンソウコでは間に合わない。


 ネンリョ氏は千変万化。

 すっごく陰気かと思うと、めちゃくちゃ万能感にあふれて、アドレナリンをどばーっと出して、攻撃性が増すこともある。

 その反動で、身体がとても痛くなったり、起き上がることができなくなったりもする。


 あたりまえだよ。


 今の時代の十代から三十代の皆さまは、本当に生きにくいと思う。


 コロナ禍、戦争に続いて、物価は上がるのに給料は上がらない。

 南海トラフの注意喚起から、防災対策だの地震予知だの、何が本当か信じられなくて、不安の(パイ)は役満だよ。


「こんなにがんばって毎日生きてるのに、全然思うようにならない」

「周りは理不尽で、自分のことをちっとも分かってくれない」

「もういっそ、死んだ方が楽なんじゃないかな」


 そう感じるの、あたりまえだよ。

 逃避しないとやってられん。


 自分を誉めて。

 難しいなら私が誉める。


 これを読んでいる液晶の向こうの人。

 私はあなたのことを何にも知らない。

 でも死なれるのは嫌なんだ。


「じゅうぶんがんばってる」

「生きてるだけで花丸満点」

「傷つくのは、あなたが優しい証拠」

「ここまで読んでくれただけで、私はめちゃくちゃ嬉しい」


 死にたいって思う気持ちは、本当は、生きたいっていう心の叫び。


 賢い人ほど消えたくなる。

 誠実だから死にたくなる。

 一生懸命生きてるから、誰かの理不尽に打ちのめされる。


 だけどさ、一緒に生きよ。

 顔も素性も知らないからこそ、こうして本音をぶちまけられる。


 この文章を読んでくれた人が、一人でも、「まぁとりあえず寝るか」って思ってくれたら、嬉しい。


 病む夜を超えて、また明日を生きよう。





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