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覚悟なんか無くていい

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

文句も、愚痴も仰らないのは、一柱しか存じ得ません。

お友達との食事会。何を話すかと言ったら、まぁ多種多様。好きなことの話もあれば、嫌なことの話もある。楽しい話の後には決まって嫌な記憶が蘇るようで、今はほんのり愚痴が混じった会話になった。

「またさ〜……この間も休日出勤して……しんどい……」

「あら〜そうなの?」

お酒飲ん代わりにラム酒のケーキ。お酒が弱い彼女にはそれでも効果覿面だったようだ。テーブルに突っ伏して、嘆き続ける。

私が今してあげられる事は、正論ぶち込んで均す事じゃない。ただ共感して、寄り添ってあげる事。例え、その現場に遭遇した事がなかったとしても。

「まぁ、食べなはれ。嫌な事は食べれば大抵サヨナラ出来るから」

「有難う〜」

そうこうしているうちに、話も終わり、食事会も終わり、解散となった。


一人になって帰る度、物凄い寂しさが押し寄せてくる。周りの喧騒が何時もよりも大きく感じて、この世界から爪弾きにされた気がする。こうなる事は最初から分かっていたのに、堪えるものがある。

友人は大変だと分かって上であの業界に入った。それでも、どれだけ腹を括っても、やはり愚痴の一つでも零したくなるものはあるのだろう。それはまるで、この帰り道とよく似ていた。

最初から分かっていた事だ。帰りがしんどい、なんて……。分かった上で見送ったんじゃないか。


帰宅すると、彼がリビングに座って珈琲を嗜んでいた。挽きたての豆の匂いが部屋に充満している。私の顔を見ると、気を利かせて珈琲を一杯注いでくれた。有難いね。

「有難う」

「あぁ……」

二人して寄り添っていると、今日の事が蘇ってくる。望んで入った会社への愚痴、引き止めなかった一人の帰り道。

「あのさ……人間、覚悟なんて大それた事を言うけれど、そんなの、最初から無い方がいいんじゃないかなって思うんだ」

だって、どれだけ腹括っても、迷う時は迷うし。苦しい時は苦しいし。愚痴りたい時は愚痴りたいし。それを『お前が決めたんだろ。うだうだ言うなよ』なんて言いたくない。そんな言葉が出るのは、腹を括ったと思われているから。

「覚悟って、後から着いてくるもんじゃないのか?」

「うん?」

ぽけっとした顔で首を傾げると、静かに珈琲を啜る。彼は続ける。

「どんなに腹括って挑んでも、窮地に追い込まれれば人間沈む。それをどんなに拒んでも、それを受け入れるしかないんだ。その時に、泣き言吐いても良い。打ちひしがれても良い。でも受け入れるしかないんだ。その時の気持ちが覚悟なんじゃないのか?」

「そっか……いいね。とっても」

友人は愚痴を吐きながらも、きっと明日も出社する。望んだ世界だから。私はまた一人で帰るだろう。『またね』と言うから。それがきっと受け入れるということ。覚悟するということ。

覚悟は最初にするものであり、後から着いてくる物だと思ってますよ。

どれだけ重たいか予測して挑むものであり、困難から逃げなかったら其れはもう覚悟出来てる事だと思いますよ。


だから愚痴を零しても、打ちひしがれても良いと思うんですよ。現状と向かい合っているのならば。


『君が決めたんだから、あんまりグチグチ言うな』

なんて言葉、あんまり好きじゃないんですよ。

人間そこまで強くないですし、愚痴の一つも言わない方を見たことがありませんし。


人間らしく生きましょうよ。

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