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出会いと再会

「寒いよ。死にたくないよ」

 雪山に1人の少年が捨てられていた。

 売れば金になるからと防寒着も着せてもらえず、ただ死を待つしかない。

 少年は愛されたかった。

 そのために家のことを進んで行い、子どもでも雇ってくれる店で朝から晩まで働いた。

 それでも両親は少年を愛さなかった。

 ある日、少年は聞いた。「どうして僕を愛してくれないの?」

 両親は答えた。

「お前が魔女に呪われているからだ」と。

 少年は思った。

 ああ。魔女さんのせいなんだ。

 魔女さんのせいでお父さんもお母さんも愛してくれないんだ。

 いつか魔女さんに会ったら、呪いを解いてもらってごめんなさいしてもらうんだ。

 そうしたらきっと、お父さんもお母さんも愛してくれるんだ。

 少年は目を閉じた。幸せな夢を見た。

 笑顔の両親。暖かい食卓。学校が休みの日は3人で遊びに行って、夜は川の字になって眠る。

 そのどれもが存在しない記憶だったけれども、少年は幸せそうに笑っていた。

 そんな少年を1人の魔女が見つめた。

「…………やっと見つけたわ。ハル」


 あれ。暖かくて、ふわふわしてる。 僕、死んじゃったのかな。

 恐る恐る目を開けると、きれいな部屋にいた。

「……ここ、どこ?」

「あら、目が覚めたのね」

 そのお姉さんを見てると不思議な感じがした。 今まで見てきた人の中で、一番きれいで。なんでか人間じゃないと思った。

 でも全然、怖くなかった。 会ったことはないはずなのに、不思議と懐かしかった。

「お姉さん。誰?」

「魔女よ」

「まままままま、魔女!?」

「そんなに怖がらないで。 貴方みたいな子ども、取って食ったりしないから。これでも飲んで落ち着いて」

 魔女は少年に、ホットミルクを手渡した。

「あったかい」

 ホットミルクを一口飲んだ少年は、涙を流した。

「どうしたの。熱かった?」

「すごくおいしくて、嬉しくて。 僕、こんなに優しくしてもらったの生まれて初めてだから」

「……そう。これからは私が優しくしてあげる」

「……いつまで優しくしてくれますか」

「君が望むなら、永遠に」

「どうして僕に優しくしてくれるの?」

「……君が私に呪われているから」


 やっぱり僕は、魔女さんに呪われているんだ……。こんなに優しい魔女さんなのに、どうして僕を呪ったんだろう。

 僕、とっても悪いことをしちゃったのかな……。でもこんなに優しい魔女さんなら、呪いも解いてくれるかな。

 でも呪われてるから優しくしてくれてるなら、呪いを解いたら優しくしてくれない? 僕はどうしたらいいんだろう。


「ねぇ。貴方、名前は?」

「……おいかお前のどっちかだと思います……。すみません。どっちが名前かわからなくて……」

「……そう。せっかくだから新しい名前をつけましょうか」

「あ、新しい名前ですか……?」

「そうよ。嫌なら無理にとは言わな」

「ほ、欲しいです!!新しい名前……」

「ありがとう。ならユキなんてどう? 昨日はすごい雪だったものね」

「……ユキ」

「この名前なら、貴方と出会った日のことを毎日思い出せるわ」

「ぼ、ぼく、ユキがいいです!」

「決まりね。これからよろしくね。ユキ」

「はい!よろしくお願いします!魔女さん!」

 こうして魔女さんと僕……。ユキは、一緒に暮らし始めた。

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