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第三十一話 掛け替えのないもの


「おぉー、見違えたな」


 目の前に建つギルドは、以前とはまったく違っていた。

 ボロボロの外壁も、朽ちた屋根も、錆びた配管も、綺麗になっている。

 退院してから初めてギルドを見たが、ここまで変わるとはびっくりだ。


「ほらほら、早く中に入ってくださいよー」

「あ、あぁわかったわかった」


 伊吹に背中を押されて中に入る。

 すると、これまた見違えるほど綺麗になった内装を見る。

 新品の木の匂いがして、別のギルドに入り込んだような気さえした。


「お帰りなさい、総也さん!」

「無事に退院できてよかったです」

「あぁ、ありがとう。まぁ、入院してたのは三日くらいだけどな」


 医療スキル様々だ。

 怪我はその日のうちに全快してたし、残り二日は経過観察だった。

 どこにも異常は見つからなかったし、今日からでも復帰できる。


「あの……それでなんですけど」


 朝陽がいい辛そうに、切り出す。


「総也さんは、これからどうするんですか?」

「どう? どうって?」

「ほら、仲直りしたじゃないですか」

「仁たちと? そりゃそうだけど」

「単刀直入に言いますと、総也さんはこのギルドを畳むのではないかと心配しています」

「あぁ……そういうことか」


 元の鞘に戻るかも知れないと、そう思っていたのか。

 たしかにその選択肢もあるにはあった。

 昔なじみとまた冒険に。

 実際、入院中に見舞いに来た亜紀たちに誘われた。


「いや、その気はないよ。今はここが俺の居場所だ」

「よかったー!」


 三人とも安堵して笑みを浮かべている。

 そう思ってくれていることが、今の俺には嬉しかった。


「あ、そうだ! ケーキ食べよ、ケーキ!」

「そうでした。退院祝いに買っていたのを忘れていました」

「じゃあ退院祝いとギルド継続祝いだね。取ってこよう!」


 いろいろなことがあった。

 その上でここにあるものが掛け替えなく思える。

 この日々がいつまでも続いていけるように、これからも頑張ろう。


「採用してよかったよ、本当に」


 心からそう思い、俺も三人のあとに続いた。

お疲れ様でした。

いずれまた新作を書くのでその時はよろしくお願いします。

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