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ビデオカメラの映像はそこで乱れて終わっていた。
見終わって倉敷は驚きと関心が混じったような声で一言。
「そ、そうですか……。そうなりますか」
DVDはメインメニューに戻りまた砂嵐が流れる。それを気にすることなく倉敷は続ける。
「ラップ音からの霊の声か……あの声は警告、いや合図かな? だとしたらあの霊は地縛霊じゃなくて浮遊霊かなんかの類なのかな?」
考察するように独り言をしたら、倉敷は顔を上げる。
「ともかく、面白かったですね。冴木先輩」
「ああ、そうだね」
倉敷とよくここで〈呪いの心霊映像〉を見ていたので、これもその他と変わらないのだろうと思っていたが期待以上に楽しめて自分は満足だった。
「音だけの心霊動画ってどんなものかと思ったけど、むしろ音の方が怖いところまであるね」
「そうですよね! よかった」
共感してくれたことに嬉しそう笑う倉敷。だが、その倉敷の笑顔を奪うかのように速水が余計な口を挟む。
「馬鹿馬鹿しいあんなの映像に音を付け加えただけのただの創作映像だろ。まだUFO映像の方が信じられるわ……。こんな心霊映像を信じるのは馬鹿な奴かとことん純粋な奴だけだろ」
そう言って速水は倉敷と、自分を見た。
どうやら倉敷が馬鹿な奴、そして自分が純粋な奴らしい……。速水の言動は毎度少し癪に障るところがあるが、それよりも自分はこれから起こる面倒事に小さく「はぁ」とため息を吐いた。
ガタンッ!
始まった……。
「はあ! 馬鹿はあなたの方ですよ!」
目の前から倉敷の金切り声が上がった。
……まあ、幽霊を信じる倉敷にとって先ほどの速水の言葉は暴言の何ものでもないのだから怒るのも必然だろう。
倉敷は立ち上がり速水に向かって強い口調で詰め寄る。
「何の考えず、何の確証もなく幽霊はいないって決めつけるこの……エイリアン馬鹿! 大体私は、本物かどうかちゃんと見極めて見ているんですぅ。というか、どちらかっていうと幽霊よりあなたが信じているUFOや宇宙人の方が怪しいじゃないですか。偽映像なんてこっちの倍以上あると思いますよ」
「はあぁ? お前今なんて言った!」
さっきまで余裕な態度をとっていた速水だったが倉敷の放った言葉がよほど効いたらしく、速水も立ち上がる。
大きく上から倉敷を見下す速水。そんな速水に負けるものかと倉敷も睨み上げる。
こうして始まってしまった。面倒事の二人の討論――もといケンカが……。こうなってしまっては簡単に止まることは無いので、自分は今のうちに点きっぱなしのDVDを仕舞いに行く事にした――。