プロローグ1
なんでこんなに勉強しているんだろう……。
そんな思いがふと頭に過った。勿論その理由は就職の為、将来の自分の為、もしくは土日を跨いでから始まるテストの為にやるものだってことは分かっている。だけど今の講義室の惨状を見ていたら真面目に講義を受けている自分がどうにも馬鹿馬鹿しく思えてきたのだ。
「はぁ」
講義室の後方から見える光景に自分は小さくため息を漏らした。
現在、現代社会科学の講義中だ。現代社会学の先生が前に立って一生懸命生徒たちに教鞭を執っているのだが、それに耳を傾けているのは自分と数名の生徒達だけだ。この場にいるその他の生徒はというと……机に伏して寝ていたり、スマホを触っていたりとやりたい放題していたのだった。
異常な、だけどこれが日常的な光景に呆れながらも時計に目をやる。すると講義の終わりの時間が差し迫っている事に気がついた。
「もう少しか……」
ようやくこのだらけきった空間から脱する事ができ、家に帰る事ができると安堵の息を漏らした。が、その安堵はほんの一瞬、この講義の後に行かなければならない場所を思い出しその安堵の息はため息へと変わる。
「はあぁ……。サークル……」
自分はもうすでに疲弊しきたかのように項垂れた。
――7月下旬、夏に入って暑さ増す日々。
夏と呼ぶに相応しいカラッとした天気の今日、ガラスの向こう側では青々しく若葉茂っている木々が風で揺れていた。