転生して女になったら同性(勇者)から告られた
自己紹介を軽くしよう。
ごく一般の学生だった自分は学生寮で足を躓き転倒。
目を覚ましたら異世界にいたのだ。
魔王と戦う運命にあったこの世界では
勇者らと手を組んで、数々の試練をかいくぐってきた。
ちなみに自分は補助魔法を得意とする魔法使いだ。
そんな異世界人からしたらありきたりな人生を送る毎日の中、
あたりまえが崩れ去る出来事があった。聞いてほしい。
ボス級モンスター「ザレンティス」との闘いを翌日控えているその夜、
勇者(♂)に自分は呼び出された。
「どうしたんだい?二人きりにするなんて。」
神妙な顔をした勇者は口を開いた。
「俺..前から思っていたことがあるんだ..」
「なんのことかな?」
「死にかけた俺を必死の思いでヒール魔法をかけてくれたあの日から...!」
「?」
そう言って勇者は続ける
「あの頃から、、お前のことが好きだったんだ!」
ああ、ついにこの日が来るとは。
予想はついていたけれど悲しい。悪い、君のことは好きになれない。
というのも俺は男だからだ。
男「だった」からというのが正解だろうか?
決して勇者がそっちの趣味をもっているとかそういう話ではない。
転生前、俺は男だった。だがあの日、階段につまづいた記念すべき日から
俺の姿は完全に女になったのだ。ついてたものがついてない。
嗚呼、神様よ。どうして俺は転生して性転換したのだろうか。
勇者にどう説明すればいい?
とにかく何としてでも断ろう。
「ごめん、、どうしてもつきあうのは難しいと思う」
「どうしてだ?俺のことが嫌いなのか?」
「うーん、、それは違くて、、」
「わかった、そうか。俺は諦めたよ。」
気まずそうな顔をして話す勇者。妙に潔いな、どうしたんだ?
「なんとなく俺も気づいていたんだ。ただ、確かめたくてさ」
どういうことだ??
俺が転生していることは誰も知らないはずだ。
何を彼は知っているのだろうか。
「お前、獣使いのイレナが好きなんだろ」・
図星がきた。
勇者は無言で寝床へ戻っていった。
失恋したその翌日はもちろん力などだせるはずもなく
モンスターとの闘いに惨敗した。