表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼノグラフト動物園  作者: 竹内伊織
2/9

面接編

面接に挑む新谷、遠藤、鹿。

飼育員として見た動物園に何を思うのか。

どう言う行動を取るのか。

そして、この動物園の目的とは。

 事前に連絡を入れた。

 面接をうけてくれるそうだ。


 僕らは、後日もう一度動物園へ向かった。


 面接は単純だった。しかし、新谷以外不合格だった。 ただ、新谷と一緒に来ていた2人も見習いとしてなら採用すると言われ3人動物園で働くこととなった。


 鹿和平は「何で新谷だけなんなんだよ。」といった。

 新谷は「そうだね。」と言ったが、恐らく新谷が正採用されたのは、ただ一番初めに面接をしたからだと自分自身で感じていた。


 ワクワクしていた。どんな教育を動物に施しているのか。


 初日、まず新谷は書類の整理などの雑用を任せられた。


「別に嫌な気はしていない。」


 最初から動物を飼育できるなんてことも思っていなかった新谷は、早く上司に認められて出世の機会を伺おうとしていた。


 一ヶ月経ったことだろうか、新谷はやっと動物の飼育員見習いとして雨森先輩と共に動物園内での作業にありついた。


「僕と一緒に参加した残り二人は今どうしてるだろうか。最近連絡取ってなかったし、何しろ二人にも家族がいるから途中で帰ったかな。」


 友達のことを考えながら事務所から動物園に向かった。


 新谷はキリンを担当することとなった。

 主食は野菜とタバコだ。


 あと、水の溜まり場を適度に入れ替えるのだ。

 これで、朝の一連の餌やりは終わりだそうだ。


 他の動物と違い、備え付けてある木の葉っぱを食べるためそんなに量はいらないとのことだ。


 足を組んでタバコを吸う姿は本当に人間そっくりだった。


 1時間経った頃だろうか。


 お客様が来園してきた。


 昼食までの飼育員の仕事は、檻の中の扉の中にある監視ルームでキリンが飛び出さないかどうかの監視だ。


 いつも通り、キリンはタバコをふかし、人が檻に近づいてきても一切動じない。


 平日という事もあり、そんなに人が多いわけではないが、噂になっている動物園という事で有給をとって見にきている社会人も見られる。


 12時を過ぎ、昼食をあげて再び監視を続けた。


 遠足とかで子どもが大量に入って迷惑行為をする事も無いので、飼育員として楽だった。


 そして、閉園になった。


 閉園後の業務は、キリンたちを室内に収監することだ。

 キリンは、収監されることが習慣となっているため自分から入っていってくれるので楽である。


 一通り作業を終えた後新谷は事務所に向かった。

 そして、一日の間に起きた出来事を記録に書き込んだ。


 これで1日の業務が終わった。単純作業であったが精神的に疲れるものであった。


 それからというのも、月曜から参画した作業は、木曜まで特に変化なく行われていた。


 木曜夜。

 明日は金曜日だが祝日ということもあり、閉園後に色々作業があるらしい。


 新谷は、事務所で待機していたが、なかなか先輩が来ないのであたりを物色していると、本棚が目についた。


 そして、興味のあるタイトルの本を取ろうとした。


 右手で本を持とうとしたその時、手が本棚を突き破ってしまった。


「これは壁紙だったのか。」


 ただ、新谷は衝撃は壁紙にはほとんど預けず、突き破った先の暗い道の方に行っていた。


「なんだ、この道は。」


 すると、頑丈なドアにたどり着いた。


 事務所にあった懐中電灯で扉に照らすとそこには手術室と書かれていた。


「鍵がかかっている。」


 新谷は、先輩が帰ってきたら困ると思い一度戻り壁紙を貼り直し事務所の椅子に座り作戦を練っていた。


「何故隠しているのだろう。」


「あの扉の先でどんなことが行われているのか知りたいが、鍵がない。おそらくこの道は裏道。表玄関を探そう。」


 しばらくすると、先輩がやってきた。


 先輩は、気づくそぶりはなく、そのまま新谷を別の部屋へ連れて行った。


 10分くらい歩いただろうか。

 道が下っている気がしていた。


 到着した。

 雨森先輩が扉を開けると、そこには人間が沢山いた。


 ただ、飼育員の制服をきているわけではなく、今まで見かけたことなのない人たちばかりだ。


「ここで何をしているのだろう。」

 新谷は不思議に思っていた。


 そして、その奥へ進んだところに地上にはいなかった動物がいた。

 先輩は、こう言った。


「ここにいる動物は、明日からお披露目だ。貴方には、このラクダの飼育も担当してもらう。話は以上だ。今日は、もうかえっていいぞ。」


 そう言って先輩は来た道を帰って行ったが、新谷は少しラクダを観察してから帰ることとした。


 しばらく見ているとラクダの体に傷跡があるのがわかった。


「このラクダ手術したのかな。傷痕が人工的な気がする。」

 そう思いながら見ていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。


 急な出来事に手を振り払い事務所に戻ろうと出口に目をやったが人間の巣窟の出口には柵が掛けられていることがわかり絶望した。


「バレてたのか。何か疑われた気はしていなかったが何か仕掛けられていたのか。とにかくここにいたらやばい。」


 逃げようと思ったがここの出口がわからない。

 すると、後ろの人間の一人が喋り掛けて来た。


「俺らは、お前の味方だ。一回落ち着け。」


「落ち着いてなんかいられるか。だいたい、お前らは誰なんだ、何故ここにいる。」


「俺らは、ここで動物園の見せ物として活動している。」


「は?この地下で誰に見られるってんだ。」



「いや、ここは地下ではあるがお前が楽しみにしてきた動物園の正体はここにある。」


「お前らが俺を閉じ込めたんだな?」


「そうだ。」


「何の変哲も無い人間、だれが見にくるもんか?」


「見にくるさ。しばらくすればわかる。」


「説得力がない。」


「俺らはここで檻に囲まれて生きてきた。そして、お前も今日からそうだ。安心しろ。直ぐにここが本当の大人の動物園と言われる理由がわかる。」


「お前らの目的はなんだ?」


「元の生活の奪取だ。」


「そのために、人の人生を奪っていいのか?」


「いや、普段ならしなかった。しかし、お前は救世主だったからだ。」


「何のことだ?」


「お前は、ラクダの傷跡が手術痕であることに気づいた。」


「やっぱりあの傷は、手術痕なのか。」

 新谷は、あの傷が手術痕である可能性から確信に変わった。


「ラクダの傷は、普通の人なら輸送時の怪我だと考えて終わりだが、お前は違う。

 お前は手術のことを知っている。いや少なくとも異変に気付いている。

 日付がかわればわかる、ここの恐ろしさがな。」


 誰が味方で誰が敵かわからない。

 先輩は、この場所を知っていたのだろうか。


 新谷は、ラクダの前で座りながら考え事をしていた。


 0時になった。

 新谷は、朝先輩が戻ってくるまでの間はこいつらを監視してようと思った。

 するとカチャカチャと音がなり檻が照明に照らされそして音楽が流れ始めた。


 こっちから檻の向こうへは光の関係で見ることができない。

 ただ何かが始まったのがわかった。


 人間の声がしている。


 すると彼らは、檻に張り付いた。

 外から餌が与えらているらしい。


 これは張り付いていると、人も寄ってきて餌をもらえる機会が増えると考える動物ならではの発想であった。


 音楽が鳴り止み、明かりも消えた。

 私は、ここで最初に話しかけられた人やその他数名と話し合いを持ちかけた。


「名前はなんという。」


「椎木源次郎だ。」


「椎木。お前に聞きたいことが沢山ある。まず、なんでこんなところに動物園があるんだ? 

 そして、何故お前らは動物に徹している?

 恥ずかしく無いのか?」


 ゆっくりと椎木とそのとなりの剣侍一将が答えた。


「俺らは、この人間動物園のリーダー椎木と副リーダー剣侍だ。

 ここから、みんなを解放し元の生活を取り戻してあげる責任がある。


 その上で話す。


 この動物園は、ここの園長が自分の欲望を叶えるためだけに作られた動物園だ。

 地下にある理由はおそらく人目に付かないようにだろう。


 ここでは、餌や飲み物は支給されない。よって自分で得るしかない。

 だから、ああするしかないんだ。


 僕らが動物のふりをしなければ、この動物園を潰すことができるが食料も尽きて人間は死ぬ。」


「よく考えられた動物園だ。」と新谷は関心した。

 そして、椎木に相談を持ちかけた。


「朝になるとここに俺と一緒に来た先輩が来る。

 うまく利用できないか?」

 

「椎木は答えた。」


「来た先輩に助けを求めて助けてもらう。

 それがお前が地上に戻る最後の手段だろう。お前が決めればいい。」


 新谷は、椎木にこの地下動物園にいる人を全員集めてくれとお願いした。

 12人揃った。


 新谷は、「あっ」と声をあげた。


 新谷と一緒に来た遠藤登を見つけたからだ。

 新谷は、遠藤に一緒に来た鹿和平はどうしたと聞いた。


 すると登は、動揺したように言った。


「和平は、行方不明だ。おとついからいない。」


「そうか。」


「あの、実は、、、」


 遠藤が何かを話そうとしている時に、椎木が我々の間に話を割り込んだ。


「ここには、出口はない。

 しかし、時より行方不明不明者が出る。

 もしかしたら、出口はあるかもしれない。」


 みんなを集めて新谷は言った。


「君たちの思いは伝わった。俺がこの動物園を潰す。作戦は、考えてある。


 朝先輩がここにやって来たら俺は先輩に助けを求めて外へ出る。


 そして、俺が檻の外から定期的にご飯をやるからもう人に媚びへつらうのはやめよう。


 人気のなくなった動物は園長も解放してくれるはずだ。」


 椎木ら地下動物園グループは感動していた。

 日の当たらない場所で一生を終えるとと思っていた人達にとってはやっときたチャンスなのだ。


 地下グループは、アンダーズと言う名で活動することにした。


 全員がアンダーズに参加を表明した。

 これまでの暮らしはみんな辛かったのだろう。


 朝になった。

 先輩が来た。


 いよいよ、新谷たちの園長との戦いが始まった。

最近、忙しいけど、何とか投稿し続けてたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ