第二部 終章
「う、ううう……」
狭くて薄明るい部屋の中、俺は震える手で携帯食料をかじっていた。
ここは機材保管庫。
今も遠くから仲間の絶叫が聞こえる。
何が悪かったんだ。俺が何をしたって言うんだ。
俺は原因を思い出すべく、今までに起きたことを思い返すことにした。
アヌビスは荒野を駆ける機動要塞だ。
各シェルターに配備されてはいるが、何百年もの間にそれぞれのシェルターがアヌビスを独自に進化させていった。
そのパーツ一つ取っても機密事項の塊である。
もしアヌビスを回収できたらそれだけでシェルター内の評価はうなぎ登りだ。
そして、一ヶ月ほど前に、天は俺を選んだ。
まさに僥倖、天の恵み、我々は神から二種のアヌビスを授かった。
「山田隊長。君は大変な功績を納めてくれた。第六十七番シェルターと第三十七番シェルターのアヌビスを鹵獲してくれるとは。更に先遣隊も四名救出できた。この功績に私は……もう言葉が出ない。これで私たちの第二十四番シェルターはどこのシェルターのアヌビスよりも強いアヌビスを作ることが出来る。とても感謝している。ありがとう、山田隊長」
俺は岩西中将に敬礼をしたまま、彼の語る言葉に満足していた。
「岩西中将、本官には身に余る言葉です」
「君の部隊には報酬をたんまりくれてやる。その他に……そうだな、山田隊長。うちの娘なんかどうだ?」
「よろしいのですか、今度お会いしても?」
「構わんさ。さあ、第三十七番シェルターの外部遠征用アヌビスが今から解体されるところだ。ウォータールームに何かが入っているらしい。恐らく死体だろうが、自分の捕まえた獲物だ。少しでも良いから見ていかないか」
「はい」
俺と岩西中将はアヌビスを解体している武器庫に向かった。
そこでは今まさに一機のウォータールームを開放しようとしていた。
「解体作業はどうかね?」
中将の言葉に作業員たちはサムズアップして報告している。
武器庫は作業中はうるさいため、手信号で状況を報告する。
それは中将に対して行っても、なんら失礼には当たらない。
「そうかそうか」
岩西中将は満足そうに微笑むのだった。
「ウォータールームを開放します。中に大量の水が入っているので、避難してください」
アナウンスの指示に従って、俺たちは小高い場所からその作業を眺めていた。
「さん、にい、いち」
声がけとともにアヌビスのウォータールームが開放された。
ウォータールームの中から薄赤い水が大量に出てきた。
それと同時に、サバイバルウェアを着た首のない胴体と、事切れた頭部が武器庫の床を転がった。
「なんとも不吉な。なんまんだぶなんまんだぶ」
岩西中将は手を合わせていた。
あの時、しっかりと考えておけば良かった。
ウォータールームという密室の中で、サバイバルウェアを着た人間が一人だけ居て、なぜか頭部が取れている。そしてアヌビスは廃棄されていた。
考えられることは一つ。つまり第三十七番シェルターが廃棄したアヌビスのウォータールームの中には……
ポタ、ポタ。
俺の膝に水滴が落ちてきた。
「う、うううう……」
上に何かがいる。
天井を見上げると、そこには灰白色のタコのような怪物が天井から俺を睨んでいた。
「やめろ! やめてくれえええええ!」
第二部はこれにて完結です。
自分の作った物語の続編を書くのは初めてでして、とても良い経験をさせていただきました。
読んでくださった皆様にも非常に感謝しております。
よかったら、感想をお願いします。
貰うとやっぱりうれしいですから。
あ、改善点とかでも良いですよ。よかったらくれませんか?
第三部は制作中です。一度完成させて、矛盾点を可能な限り排除するのでけっこう時間が掛かります。
再開したら活動報告で報告させていただきます。この作品を気に入った方で、「活動報告は見ない主義だぜ」という方が居たら、ブックマークの方をよろしくお願いします。
最後に、200ページ以上になる「外部遠征編」を読んでいただき本当にありがとうございました。




