男性の願い
「今、僕って死んだんだよね?...悔しいなぁぁ、うぅ...今日は特別な日だったのに...」
男性は大泣きし、崩れ落ちてうずくまる。大人の男性が大泣きする姿を見たことがなく僕は震えた。ゾクゾクっと嫌な感じが全身を駆け、鳥肌が立つ。
「特別な日...とは、その...どういったことですか?」
「特別な日...、僕にはね妻子が居る。今日はね...うぅ子供の誕生日、結婚記念日が重なる一番大切で特別な日なんだ。だから、車にあるだろうほら!あ、あれだ...ケーキプレゼント...なのになのに僕は浮かれて運転していた......ちくしょうちくしょう!」
そう言うと叫んではプルプルと震えていた。と、ミカエルの声が聞こえてくる。
『彼の願いを聞いて叶えてやってくれ。ベリアル、キミならやり方はわかるよね...それだけだ。』
ベリアルめんどくさそうに、はいはいと理解しているようだった。
「では、あなたの願いは何ですか?あなたは何をしたいですか?」
「僕は妻と息子に......いや、妻と息子と最後のパーティーがしたい...!そして、楽しく話したい。最後の...く...最後の最後の別れを自分の言葉で伝えたい。」
《おい男、さっさとお前の家に案内しろ。お前の願叶えてやるよ。オレ様につかまれ、そしてお前の家をイメージしろ。お前もつかまれカミセ。》
男性と僕はベリアルの肩に捕まると、瞬間的に男性の家の前に移動をした。
《ここでいいのか?男。》
「ここだ、ここだよ...加奈子、祐介...ごめんよぅ...」
「行きますよ、すべての気持ちを奥さんと息子さんに伝えてください。」
僕たちは、男性の家へと入った。