事故現場
真実の罪人とは何だろうか気になり聞いてみる。
『真実の罪人...それはね、罪を犯したり人を殺したりする罪人だけではなく、自殺に追い込んだ者や犯行を犯しても捕まらなかった者こそ本当の罪人なんだ。人間界ではいじめというものやパワハラというもので命を絶ち、それらが怨霊になって生者を襲って死へと引きづりこむ。自殺に追い込んだ者は平然と生活をしている。冥界や天界にも死を受け入れることができない死者が多くて大変なんだ。』
いじめやパワハラの事か、テレビや新聞で聞いたことがあった。あの世でも大変なことになってるのかと思った。
『報告をすればキミたちに力を。真実を突き止めていくごとに探索は難しくなるはずだ...ベリアル、キミにも能力開放の力を与えよう。カイリ君、キミは不老不死になっている。霊の声も霊の姿も確認することができるだろう。さて、最初の仕事は人間界の都市内の事故現場だ。どうやら、自分の死を受け入れられずにさまよっているようだ。確認してきてくれ。』
早速仕事か、不安で仕方なかったがミカエルは大丈夫だと励ましてくれる。すると、僕とベリアルは光に包まれ目の前が真っ白になった。僕の鼓動だけが聞こえ、温かい空間の中眠気が出てくる。と...、
「ここは...東京?」
首が痛くなるほど大きなビルが立ち並び、ネオンや巨大な電光掲示板の明かりが眩しい。
《なんだ?これが人間界か、こんな夜中なのに人の足が消えておらん。おい人間!案内しろ》
「え?人間...ああ、僕は神丗 戒璃!」
《カミセ カイリ?フンっ知るか!》
こんな感じでやっていけるのだろうかと不安が募るばかりであった。
僕らは道なりに歩いていると赤い光とともにパトカーのサイレンや拡張期で警察が野次馬を動かしていた。黒い煙が立ち上り、焦げ臭いにおいとガソリンのにおいが入り混じって鼻を曲げようとする。
「あそこだ!あそこが事故現場だ、行くぞベリアル!!」
《オレ様に命令するな!...チッ》
嫌味を言いながらもベリアルはついてく、事故現場に近づいてはいるのに誰も僕らには気づかない。野次馬や警察官には僕らは見えていない。警察の黄色いビニールテープを潜り抜けて、いや通り抜けて車が横転した現場に入る。ケーキのようなものやデパートとかでもらうような紙袋、血がついているものや焼き焦げてボロボロのものもある。その中で一人の会社員らしき男性が呆然と立ち尽くし涙を浮かべていた。警察は彼を気にも留めず仕事をしている。と、今立ち尽くしている男性に瓜二つの男性がぐったりと血を流してブルーシートに包まれていた。ベリアルは言う。
《こいつは今死んだ。肉体から魂が離れ、こいつの思いが姿を現している。何かしら強い信念があるのだろう。オレ様には関係n...》
「僕らにできることはありませんか!?」
《おいっ!!!!!!》
会社員の男性は涙を浮かべながら僕らに相談を始める。