人間に近い存在
《何故オレ様が人間なんかと行動しなくてはならんのだ》」
忘れたころに口調を変え始めるベリアルに我慢できずに吹いてしまった。
《何がおかしい、人間よ!》
僕はもげる勢いで、首を振った。すると、フンっ!と腕組をしてそっぽを向いてしまった。ベリアルが後ろを向くことで禍々しいコウモリのような翼が見え、それがバサリバサリと動いている。
『兄上から許可は頂いている。冥界も大変なようだ。』
「あなたの兄上ってまさか!」
僕はとっさに声を発してしまった。直後にはっとして口元を抑える。
『うん、キミの想像通りワタシの兄上はルシファーだよ。』
僕が読んだことのある本ではミカエルとルシファーは実の兄弟だがミカエルは光の子、ルシファーは闇の子という生まれ方をしたらしい。二人の神は天界の神となるために争ったと聞いていたが、ミカエルの話し方だと仲が良いと思える。あれはただの仮設だったのかな?すると不満を爆発させたような声でベリアルは言う。
《ルシファーの許可が出ただと!?オレ様は何も聞かされずここに連れてこられ、さきほどの話を聞いたのだ!あまりにも理不尽すぎやしないか?!》
ベリアルの檻を僕の前に置き、楽な姿勢をとり話し始めた。
『キミは冥界の中でも一番人間に近い、そうだろう?だから人間の気持ちを一番感じやすいんだと思ってキミを選んだ。そしてカイリ君と共にする仕事をこなしていけば、キミの望んでいることも叶えてあげる。ワタシにはキミの望んでいることはすでにお見通しさ。』
ベリアルが人間に近い存在、人間を理解している存在、そしてベリアルの望むことはいずれ分かる事だろうと思って今は気にしなかった。ベリアルは、
《そんなもの信じられるか、オレ様は悪魔なんだぞ?お前の仕事がすべて終わったころにはオレ様は消されるんだろ?!》
『消すことはない、兄上に誓ったことだからな。ワタシと兄上の争いはもう見たくないだろう?それと、ワタシは"お前"ではない。大天使ミカエルという名がある。』
ベリアルは静かにうなずき、仕事について話せとミカエルに言うとベリアルを閉じ込めていた檻は粉々になりベリアルは僕の横についてミカエルの説明を聞く態勢ををとった。