大天使ミカエルと悪魔ベリアル
『大変だったね、カイリ君。キミは悪霊の思惑通り殺されてしまった。』
淡々と話を進める巨大な人に僕は聞いた。
「あなたは誰ですか!?ここは何なんですか!?僕は...どうなるんですか!?」
僕を見下ろし、こう続けた。
『そうだったね、ワタシは大天使ミカエル。ここはワタシの幻想世界、そう天国さ。そして、キミはワタシの下で仕事をしてもらう。』
仕事?意味が分からない...しかし、大天使ミカエル...神話に出てくる偉大なる神だ。アニメやマンガの中でしか見たことがなかった。こんなにも神々しく、万物を見通すようなその巨体を目の前に僕は固まってしまった。
『キミにはね、彼とともに動いてもらう』
ズズズと巨大な手を僕の目の前に出し、手にしていた大天使には小さすぎる檻を見せた。大天使の手の陰で檻の中は暗闇になっていたが、こちらを睨む赤に光る二つの目玉が見えた。
「う、ううわあぁぁ...!な...なんですか!?」
それは殺意ある目だった、背筋に嫌な寒気と汗が流れるのを感じる。と、巨大な手がグオングオンと音を立てて左右に揺れた。
『こらこら~、カイリ君を脅かしちゃダメでしょ~?』
ギシギシと今にも壊れそうな音を立てている。
《ぬわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!やめろー!ゆ!ら!す!なぁぁ!!おい落ちるって、やめ...ギシギシ悲鳴上げてるから!わーかった!わーかったよぅ!オレが悪かったって(泣)》
グオングオンしていた手は、揺れが止まり中の者は疲れ切った息遣いが聞こえた。
《は、はぁ...ったく、勘弁してくれよ。頭ぶつけるわ、鉄格子に挟まるわ...くっそー!なんでこのオレがこんな目に合わなきゃならないんだ!ああもう!!》
『ごめんね~カイリ君驚かせちゃって。そしてコレがキミの相棒となる者...そう彼は、悪魔ベリアル!』
嫌な汗は止まらぬばかりで、この状況に理解しきれていない自分がいた。