起床
朝だ…、あぁなんて平和なのだろうか。眩しい光が僕の瞼をすり抜けるように目を覚まさせる。目を開ければ暖かく輝かしい光が目を刺激してくる。そろそろ起きなければいけない。体を起こしベットに腰掛け背伸びをすると腰の骨がゴキッと嫌な音を立てることで起き上がれる。首が痛い肩が痛いだの身体が悲鳴をあげているように思えた。昔から寝相の悪さは自分でもわかってはいたが、まさかこれほどまでとは…。嫌な夢でも見ていたのか額には汗びっしょりだ。どんな夢を見ていたかなんて覚えちゃいない。
汗でべっとりとしたTシャツを脱ぎ捨て、制服に着替える。洗濯機にそれらを突っ込んで両親の居る仏間に行く。仏壇に手を合わせる、これが毎日の習慣なんだ。手早く朝飯を済ませ、鍵をかけるのを忘れずに家を飛び出す。と、家の前に人影を目にしたものの勢い余ってぶつかってしまった。
「いてて…ごめん、大丈夫?」
当然の事で目を瞑ってしまったが、このシャンプーの香り…まさか…。体を起こす事を第一に考え立ち上がる為、慌てて手に力を加える。ん?なんだろうかこの柔らかい感触は…。
「な、何……え、えっち!!」
その言葉が発された瞬間、手が飛んできた。
「パシンッ!」
咄嗟にその手を受け止めていた。
「な、なんで受け止めるのよ!もぉ…」
「あ、ごめんごめん!わざとじゃないんだ!ケガはない…?実夢?」
「だ、大丈夫だよ……。」
この子は、小金井 実夢。同じ高校に通ってる同級生だ。ショートカットで白髪の女の子。白髪なのはそういう病だけど僕は気にもしない。むしろ白髪の方が良い。静かな子だけど小さくて可愛い。ちなみに僕の彼女だ。
「な、なにするの?もうこんなことしちゃダメだよ…?」
「わざとじゃないんだって…ごめんごめん、僕が悪かった!」
「ゆ、許してあげる……。アレ?戒璃くんどうして涙目なの?さっきまで泣いてたみたい…」
「え?僕、目薬してないよ?泣い…てたの?まっさか!そんなはずないよ〜!」
「そうなの?うーん……」
不思議そうに僕を見上げみつめてくる。
「…あ!もうこんな時間!急がなきゃ、戒璃くん走るよ!」
「あぁ、うん…!」
僕らは学校に向かって走った。そう遠くは無いけど急いだ。