7話 人間不信
「…お!見えてきた……。」
俺の行く先に“町の中心”が建っていた。
亜里亜に教えてもらった集落の内の一つだ。
彼女の話によると、そこは“最も馬場の被害に遭っている集落”らしい。
これまで何度となく襲われ、その度に苦労して集めた資源を奪われているそうだ。
ならば馬場と戦う上で必ず協力してくれるに違いない。
俺は確信していた。
さて、では問題は“どうやって接触するか”だが……。
考えても仕方の無い事だ。
俺は真っ正面から行く事にした。
「すいませぇ~ん!!」
俺は大きく手を振り、大声で呼び掛けながら“町の中心”に近付いていく。
俺がそんな大胆な行動に出た理由……それは“この人なら絶対に味方になってくれるだろう”という根拠の無い自信からだった。
結果的には、その直後に“認識が甘かった”と悟る事になるのだが…。
「こんにちは~!誰かいますかぁ~!?」
…と、次の瞬間。
シュッ!と俺の頬を“何か”が掠めた…。
「……っ!?」
驚いて振り返ってみると、後ろの木に一本の矢が突き立っている。
さらに頬に痛みを感じたので手を当ててみると、僅かながら血が出ていた。
「うわあぁぁっ!!?」
俺は驚いて腰を抜かして尻餅をついてしまった。
「…や…止めてください!!俺は敵じゃありません!!」
すると町の中心の中から、弓矢を構えた男が顔を出した。
白いワイシャツを着て眼鏡を掛けた気弱そうな男性だった。
年齢は30歳前後といった所だろうか…。
男性は半ば震える声で叫ぶ。
「く…来るなあぁ!!き…来たら射ち殺すぞぉ!!ほ…本気だからなぁ!!?」
「えぇぇ!!? い…いや、待ってくださいよぉ!!俺の話を聞いてください!!」
「う…うるさあぁぁい!!!誰も信用できるかあぁぁ!!も…もう資源は渡さないからなぁ!!」
次の瞬間、また矢が飛んできた。
狙いは正確ではなく、矢は俺の近くの地面に突き刺さったが、俺は慌てて逃げ出した。
「ひいぃ…っ!!!」
「二度と来るなあぁぁ!!!」
……何という事だ。
恐らく彼は被害に遭いすぎて疑心暗鬼になっているのだ。
まあ気持ちは解らないでもないが……。
これでは同盟どころか、まともな話し合いも出来そうに無い。
仕方なく俺は次の集落を目指す事にした……。




