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58話 展望(※地図あり)

 その後、何とか落ち着きを取り戻した士苑と亜里亜、そして玲の三人をユーマは自らの執務室だという部屋へと案内した。

 さすが大帝国を統べる皇帝が日々の政務を行う部屋というだけの事はあり、執務室はかなりの広さがあった。

 だがそれ以上に士苑達が驚いたのは、その壁であった。

 明かり取りの大窓がある反対側の一面が丸ごと、色鮮やかな小石を敷き詰めたモザイク画となっており、この世界の地図が描かれていたのだ。

 海の部分は青い色の石、陸の部分は緑の石で表現されている。


「これは……凄いですねぇっ!!」


 士苑は思わず感嘆の溜め息を漏らしつつ、興奮した様子で言った。

 一応この世界の地理は伝聞によって大まかに把握してはいた。

 だがそれをこのように目に見える形で(しかも鮮明な色使いで)見せられたのは初めてである。


「どうだ、見事な物であろう? これが世界だ!」


 ユーマは得意気に解説する。


「…石は全てこの壁画のために遠方の地域より取り寄せた。余はいつもこの地図を見て……世界を見て……我が帝国の進むべき道を考えておるのだ」


 陸の一部分のみ赤い色の石が使われていた。


「これがユーマ帝国の領土ですか」

「うむ、だから我が国の領土が広がる度にこの壁画は造り直しだ!わっはっはっは…っ!!」


 ユーマはフゥ…と溜め息を吐いて言った。


「……一集落から始まった我が国も、今や世界に名だたる大国となった!……しかしこの広い世界の中ではまだまだほんのごく一部を領有しているに過ぎん……」


 その地図によると、この世界は南北二つの大陸と無数の島々によって成り立っていた。

 大陸の間には巨大な内海が横たわっている。

 ユーマ帝国や士苑達の国々(シオニア)があるのは南側の大陸で、帝国は大陸の北岸から内海に付き出した半島を領土としていた。

 その国土の下辺……すなわち南方には大山脈が連なり、その更に下がシオニア地域である。

挿絵(By みてみん)

 世界は広い……士苑は思った。

 亜里亜と玲も同じ思いであった。

 ユーマは語り続ける。


「……我が国はこれからますます大きくなるぞ。この地図には描かれていないが、我が国の西方には我が国に匹敵する大国ファルーシャが立ちはだかっている。そして更にその向こう……未だ謎多き極西(きょくせい)地域は“(れん)”という強大な帝国によって統治されているという話だ……。いずれはそれらの国々とも戦わねばならないだろう」


 それらは士苑達にとっては初めて耳にする情報であった。

 まさかこのユーマ帝国に並ぶ程の大国が複数存在しているとは……。

 ユーマは続ける。


「……だが今すべき事は周辺地域の平定だ。君達シオニア四国のうち三国がこうして戦わずして我が帝国の傘下に加わってくれた事は実に喜ばしい事だ。戦いが無くて物足りぬ、などと言う者もいたが、余は無駄な血を流さずに済むならばそれに越した事は無いと思っている。あとは……」


 そこまで言ってユーマは言葉を区切った。

 何を言いたいのかは三人とも解った。

 今この場にいない最後の一人、水野(みずの) 優柳(ゆうり)の国……ユーマ帝国では“ユーリア”と呼ばれている(それに関して優柳は不服なようであったが)都市国家だ。


「……ミズノ・ユーリに伝えてもらいたい!」


 ユーマは優柳に代わって三人に宣告した。


「一ヶ月の猶予を与えよう!一ヶ月以内に帝都に来て余に頭を下げて忠誠を誓え!もしそうしない場合は“帝国に逆心あり”とみなし、帝国軍を送って制圧する!…とな…」

「「「わ…解りましたぁっ!!!!」」」


 ……とはいえ、あの優柳が果たして「はい、そうですか」と素直に従うだろうか。

 今まで何だかんだで頼りになる存在だった水野 優柳という男だが、こうなると一転、悩みの種となってしまった訳である。

 一体どうすれば良いのか……士苑は胃がわずかに痛むのを感じた。

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