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5話 探訪の旅

 現在、俺達は“町の中心”の周囲1キロ四方ほどの地理しか把握していない。

 今のところ必要な資源は全てその範囲内で手に入るからだ。

 その先は未知の領域……どうなっているのかも解らない。

 知る必要も無かったからだ。

 今までは……。

 だが今、その必要性に駆られ、俺は周辺地域の本格的な調査を行う事に決めた。

 留守中の資源採集はアダム、イヴ、リリスの三人に任せ、俺はとりあえず一週間分の保存食(木の実と干し肉)を携えて旅立った。

 一応、武器として槍と弓矢を持っていく。

 これを使うような事態にはなって欲しくないが……。


 まず目指すは北……あのガキが現れた方角だ。

 最大の目的は、あのガキの拠点(集落)の位置を突き止める事。

 次に第三勢力の集落を見付けて接触を図る事である。

 可能ならば同盟を結びたい。


 北へ向かって歩きだして一日目、森の中で日暮れを迎えたので野宿をした。

 焚き火をすべきか否か悩んだ。

 ゲームだった時には、森の中には狼や熊などの猛獣がいて、労働者ユニットが近付くと襲い掛かってきた。

 それら猛獣を遠ざけるためには火を焚くべきである。

 だが、一方で火を焚く事は“もっと恐るべき動物”に自分の居場所を教えてしまう事にもなる。

 この世で唯一火を恐れない動物……そう、人間である。

 あのガキや、他に“獲物”を探している危険な勢力が存在していて、そいつらがたまたま近くに居ないとも限らない……。

 悩んだ挙げ句、俺は木に登って、その上で一夜を明かす事にした。

 かつて弱かった人類の先祖も、サーベルタイガーなどの猛獣から身を守るため、こうして夜を過ごしていたのだろう。

 もっとも俺の場合、気を抜いたら落っこちると思ったら恐くて良く眠れなかったが……。


 翌日の昼頃に森を抜けて広い野原に出た。

 俺は目の前に広がる野原に感動した。

 この世界に来て初めて“遠くまで見渡せる場所”に来たのだ。

 野原はなだらかな起伏があり、所々に木が固まって生えている。

 その向こうにはまた森が広がり、遥か彼方には白雪を冠した山々が連なっていた。


(この世界には限りが無いんだろうか……?)


 俺はふと疑問に思う。

 ゲームだった時には舞台となる“フィールド”は有限だったが、今はどうなっているのだろう?

 だがそれも今は確かめようも無い。

 俺は向こうに見える森へと向かった。

 その森に入って少し進んだ所で、その日は日暮れを迎えた。

 今夜もまた木の上で眠れぬ夜を過ごすのかとウンザリしていた……その時!俺は森の奥深くに見つけた。

 明かりである。

 人がいる!……俺は胸を高鳴らせながら、その明かりを目指した。


 ……暗闇の中の明かりという物は遠くからでも良く見えるものだ。

 1キロ前後かと思いきや、歩いてみると2~3キロほど……意外と遠かった。

 近付いてみると、やはり予想通り……“町の中心”だ。

 あのガキのだろうか……それとも他の人のだろうか……いずれにしても、今度は無警戒にのこのこ近付いて行ったりしない。

 俺は茂みに隠れて様子を伺う事にした。

 ……とはいえ今はもう夜、住人は皆、建物の中だ。

 こうなったら明日の朝まで起きていて、中から出て来る人間を確かめよう……そう思いながら俺は茂みに身を潜めて夜明けを待った……。

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