26話 この世界について本気出して考えてみた
俺達プレイヤーがある日突然この世界に飛ばされて、もう三年……俺に関して言えば、既に元の世界への帰還は半ば諦めている。
はっきり聞いた訳ではないが、どうやら他の皆も俺と同じらしい。
それが証拠に皆、前の世界の話を殆どしなくなった。
それだけこっちで積み重ねてきた物が各々の中で大きくなってきたという事だ。
皆この世界で大切なものが出来た。
かく言う俺もそうだ。
ここには新しい家族がいる。
仲間もいる。
もしも仮に今「帰れるよ」と言われても、俺は元の世界に帰る事を選ぶだろうか?
正直、判らない……。
※
それはそうと、この三年の間にこの世界に関して、かなりの事が判った。
まず俺達(俺、亜里亜、水野、刈谷、栗田)以外のプレイヤーの存在が確認できた。
その数……今のところ判っているだけで100以上。
当然ながら全員を把握してなどいない。
正直これは予想を遥かに上回る数である。
そしてこの世界の規模……つまりフィールドの広さだが、今のところ“世界の果て”……つまりフィールドの端っこは確認されていない。
あるプレイヤーに言わせれば、ここは地球のような球形の惑星の上で、もしそうなら端なんてある訳が無い、という事である。
その惑星(仮)の上に俺達プレイヤーの集落が点在しており(地域ごとにある程度固まっているようだ)一部の地域では既に集落同士の戦いも起こっているとか……。
こうなると俺達もモタモタしてはいられない。
戦いに勝った集落は負けた集落を滅ぼし、あるいは吸収して力を増し、“村”から“国”へと成長していく。
そんな“国”の一つが、いつか俺達の地域に勢力を伸ばして来た時、今のままではマトモに対抗する事すら出来ない。
圧倒的な武力で屈服させられ、従わされるだろう。
それが嫌なら打つ手は一つ……俺達も地域で連合し、一つの大きな“国”になる事だ。
連合の過程は、平和に話し合いか、武力行使をちらつかせて半強制的に合併か、それとも戦いの末に吸収か……いずれにせよ一つの地域内の集落が全て一つの勢力に統一されれば、より強大になれる事だけは確かだ。
だが実際のところ、俺達の地域に関して言えば今現在まったくそのような必要性には駆られていない。
現実に大きな脅威がすぐ近くに存在している訳でもなく、また最初に与えられた土地と資源では事足りなくなるほど社会が拡大・発展したという訳でもない。
そもそもこの世界は未だに石器時代なのだ。
争っているのは、よほど人口過密で集落同士の衝突が発生しやすい地域だけである(こうして考えてみれば俺達の地域は世界的に見て“田舎”なのかも知れない)。
まだまだ全体的にはノンキな時代だなのだ……。
だが……
人口は各地域・各集落で徐々に徐々に増えていた。
ゆっくりと、少しずつ……しかし着実に……。
そしてその事が俺達を……人類を新たなステップへと半ば強制的に押し上げる事になるのだが……この時はまだ知る由も無かった……。




