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18話 亜里亜③

 士苑さんが村を焼かれて私の所に転がり込んで来た翌日、私は一人で馬場君の村に向かっていました。

 馬場君の村の前に立ち、私は大きな声で彼を呼びます。


「馬場君──っ!!!」


 馬場君はすぐに出て来ました。


「……あ…亜里亜かぁっ!!?」


 彼は『信じられない!』とでもいうように目を見開いて、物凄い慌てようです。

 まあ無理もありません。

 彼からしてみれば、もう何ヶ月もずっと拒絶され続けていたのが、急に私の方から訪ねて来た訳ですからね。

 その慌てっぷりがおかしくて、私は思わず少し笑ってしまいました。


「……ど…ど…どうしたんだよ? 突然……。」


 馬場君は『別に嬉しくなんてない。』というようなフリをしていますが、隠しきれない笑みが表情に出ています。

 こうして改めて見ると、やっぱり中学生の男の子っていう感じ……なんか、ちょっと可愛いかも♪

 私は要件を伝えました。


「……実は、今“あいつ”が私の村にいるんだけど……。」

「“あいつ”って……佐倉 士苑か!? あのヤロウ!行くとこ無いんでお前の村に身を寄せてるのか!?」

「ええ、『助けてくれ~!』って泣きついて来たわ。」

「そうか……で? お前はヤツを助けたのか!?」

「……表面上はね……。」

「表面上……?」


 私は「ふぅ……。」と一息ついて、言いました。


「何て言うかね……私、彼に失望しちゃった。今までは『頼りになるし、ちょっと素敵な人だなぁ~。』とか思ってたのに……あなたにコテンパンにヤられた途端、為すすべも無く私に泣きついて来たんだもん。何て言うか……もうね、男として情け無い。あんなのより馬場君、あなたの方がずっと男らしいわ。私ね、気が付いたのよ。この世界で生き残っていくめに必要なのは“強さ”だって……。そして、それを持っているのは、あなただって……。」

「……そうか……そうか!そうかぁ!!そうだよなぁ~!!そうだろう!!亜里亜!!やっぱりお前は人を見る目のある女だ!!いつか気付いてくれると思ってたぜぇ~!!」


 大喜びしてハイテンションになる馬場君……そんな彼が可愛くて、私はまたおかしくなってしまいました。


「フフ……ありがとう♪ あいつ、なんか『復讐戦だ~!』とか言って燃えてたから『その前に体を休めて怪我を癒やした方が良いですよ。』って言って私の村に留めておいたわ。殺すなら今よ。」

「良くやった亜里亜!!それでこそ俺の女だ!!今すぐ支度するから待っててくれ!!」

「うん、待ってる♪」


 ※


 そして私は馬場君と彼の労働者ユニットさん達と一緒に士苑さんの待つ私の村へと向かいました。

 彼の事を思うと、さすがに少し胸が痛みます。

 我ながら酷い女だと思います。

 でも仕方ないじゃないですか。

 これが私の出した結論なんですから。


※ 亜里亜の語りはここまでです。

 次話からは再び主人公・士苑の語りに戻ります。

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