17話 亜里亜②
もう一人……佐倉 士苑さんについても話しておきましょう。
この人は私が会った二人目のプレイヤーで、正確な年齢は知りませんが20歳くらい……私より4~5歳ほど上ですが、それより大人びて見えます。
馬場君との関係に悩んでいた私に、士苑さんは「そんな付き合いは止めた方が良い。」とハッキリ言いました。
その時は正直「ちょっと厳し過ぎるんじゃないかな、この人……。」とも思いましたが、今ではそれが正しかったんだと理解し、背中を押してくれた彼に感謝してるくらいです。
何となく頼りになりそうな人なんで、私は“士苑さん”と名前で呼ばせて貰ってます。
士苑さんとの付き合いは今も続いていて、困った事があったりすると色々相談に乗ってくれたり、お互い足りない資源や情報を交換し合ったりしてます。
一応、年上の男性なんですけど、異性っていうよりは、なんか“お兄ちゃん”って感じの人ですかね。
変に意識せずに付き合える気軽な関係です。
……でも……まさか士苑さんが“あんな事”になるなんて……。
※
……それはある冬の日の事でした……。
「亜里亜ちゃん……!!」
「あ……士苑さんじゃないですかぁ!お久しぶりです……けど、何かあったんですか……?」
……その日、私達の前に姿を現した士苑さんは、いつもと違いました。
あちらの労働者ユニットさん達も一緒です。
妊娠した大きなお腹を抱えた女性が男性に支えられて……当の士苑さんは片足を怪我しているようで、木の枝を杖代わりにしていました。
もう一人の女性の労働者ユニットさんの姿はありません。
何かがあった事は一目瞭然です。
「と…とりあえず中へ……!」
「済まない……。」
私は三人を集落に招き入れました。
そして私は彼らの身に起こった出来事を聞きました。
嫉妬に駆られた馬場君が士苑さんの村を襲った事……村は壊滅し、労働者ユニットさんの一人が浚われ、そして士苑さんは片足を射抜かれて大怪我……。
何て事……。
私は思わず言葉を失いました。
そんな私に士苑さんは言います。
「……亜里亜ちゃん、頼みがある。」
「……え…ええ、私に出来る事なら何でも……で、何をすれば良いですか……?」
「俺はこれからアダムと二人で馬場に復讐戦を挑む。イヴを助けるためにね……。その間、リリスを預かっておいてくれないか……。もし俺達が戻らなかったら……その時は彼女を頼む。」
「……。」
どうやら士苑さんは本気のようです。
その目には涙が浮かんでいました。
この人が泣いているのを私は初めて見ます。
それを見て私は悟りました。
この人は全てを失って、ここまで追い詰められてしまったんだ……。
そして私は“ある決意”をし、彼に対してこう提案しました。
「……士苑さん、気持ちは解りますけど少し落ち着いてください。ちょっと私の話を聞いてもらえますか……。」




