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第39話

「花梨すごい!ほんとに載ってるよ!」

「うわー、てっきりサボりの言い訳だと思ってたのに」

「誰がサボりだって!」


 ふふん、と私は私達が載ってるページを見せ付ける。

 なんとっ、デパートのパンフレットが発表前にファッション誌の大物の目に止まり、発表と同時にファッション誌に載る事になったのだ!

 うふふ、これで私も一躍有名人の仲間入りよぉ!


「でも…花梨っておまけじゃない?」

「…ちょっと、それは思ってても言っちゃダメじゃないの」


 …………いいもんっ、おまけでも載ってることには代わりないもんっ!

 そもそも、クラリッサ達が目立ちすぎなんだよぉ。

 日本人じゃ太刀打ちできないっすよぉ。


「でもクラリッサはさすがよねぇ」

「もうヒロインって感じがプンプンするよね」

「えっ、そんなことないですよ」


 クラリッサったら、実は大手プロダクションとやらからオファーまでもらってんだよね。

 そりゃねえ、これだけかわいかったらねえ。

 えっ、私?やだなあ、ある訳ないじゃないですかぁ、はぁ…


 まあ、でも、事情が事情なんで全部断ってるけど。

 いつか異世界の事が公になった際には、きっと日本のアイドルどころか世界中の注目の的だろうなぁ。


「クラリッサ様、カリン様、お迎えにあがりました」


 そこへ小学生ぐらいの子供が教室に入ってきた。


「もう送り迎えはいいって言ってるのに」

「お父様のご命令です故」


 この子はセイカちゃんと言って、ソーヤの養子?なんだって。

 なんでも悪い大人からクラリッサに危害を加えられないようボディーガードとして派遣されたとか。

 最初、小学生がなんでって思ってたんだけど、こないだ大の大人をぼこぼこにしていたのは驚いたよ。


 私達の少し後を妙な男がつけてるかと思ったら、目にも留まらない速さで、二本の木刀であっというまに叩きのめしていた。

 その時間3秒もかかってないんじゃないかな?

 気づいたらぼろぼろになっていた。


 無表情で止めをさそうとしてたのにはちょっと怖かったよ。

 あわててクラリッサが止めてた。

 異世界ってこんな子供のときから凄い訓練を積んでるんだなあってちょっと感心していたところ、セイカちゃんだけが特別だとか。

 なんでも世界一強い、剣聖さんと互角の勝負をするとか。


「あら、セイカちゃん今日もお迎え?えらいわねー」

「いいわねー花梨は、こんなかわいい妹分引き連れちゃってー」


 クラスの皆がからかってくる。

 誰も本当に護衛だなんて思ってない。私を慕っている妹分として思っていないようだ。

 でもあんた達もセイカちゃんの強さ見たら仰天するんだからね。


「おばあちゃん、洗濯物ここにおいておきますね」

「おお、ユリ坊はほんに気が利くのう、将来はいい嫁さんになりそうじゃて」

「そんな、いいお嫁さんだなんて…」


 おばあちゃん、その子、男の子って紹介されてなかったっけ?

 私達がセイカちゃんに守られて家につくと、おばあちゃんの手伝いをしている子がいた。

 名前はユーリって言って、ソーヤの幼馴染だとか。


 その照れたような仕草、そこらへんの女の子顔負けのルックス、どう見ても女の子にしか見えないんだけど、ソーヤは男性って言ってた。

 これが流行の男の娘ってやつかな?

 ソーヤがもちろん攻めかな?いや意表をついて受けかも?


「ちょっとカリンなに急に興奮してるの?」


 なんでもない、なんでもないっすよ?私は決して腐ってないからね!


「ファネスお姉さま、お父様はご一緒ではないのですか?」

「うん、今は向こうに戻ってるよ。ちょっと転移魔法に細工するんだって。転移禁止に出来なくとも、起動したらわかるようにするとか?」


 この人はファネステールって名前で、常日頃ソーヤの護衛をしている人なんだって。

 なんていうか、まさに美少女剣士って感じで、袴とか履いたらとっても似合いそう。

 剣の腕も、セイカちゃんには及ばないものの、山ほどあるドラゴンを真っ二つにしたとか?異世界人パネェッス。


「ひどいっ!ひどいですわっ!アーチェさん達だけ誘って私達に内緒にするだなんて!」

「いやっ、そのう」

「ああん?」

「はい、ごめんなさい」


 そこへソーヤがこれまた綺麗な少女を連れている。

 うわあ、あれ、クラリッサも負けてるんじゃ…いやでも、むこうは綺麗系でクラリッサは可愛い系だから大丈夫よね?

 私は恐る恐るクラリッサの顔色を伺う。


 そのクラリッサの表情は、まるで感情が抜け落ちたような、能面のような表情をしている。

 でもその瞳には、なんか殺意に似た、とても黒い感情が混ざってる様な気もする。

 私が最近唯一気にかけていること、クラリッサのソーヤを見る目つきがそのう、どうも、なにかを押し殺したような…

 いつか、包丁持ち出してコノヤロウってことにならなきゃいいけど。

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