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第38話

 うわー、うわー、すごいのです!テレビでしか見た事の無いアレやコレがいっぱいなのです!うわーとしか語呂のない私が恨めしくなるほどすごいです!

 しかもこれから、なんとっ!かの有名な!飛行機!に乗れるのです!

 病院のベットでずっと憧れていました!

 大空を!あの大空を飛べるのです!


「楽しそうだな未来」

「はいっ!ほんとお兄様にはどんだけお礼を言えば分からないほどです」

「僕よりも彼にお礼を言わなくちゃね。命の尽きた未来を蘇らせてくれたのだから」


 私はソーヤ君のほうを見ます。

 と、急に頬が赤くなってきます。

 私ったら、いくら初めて男の人に抱き上げられたからってあんな年下の子にしがみ付くだなんて!

 今思い返しても恥ずかしさで顔が真っ赤になってきます。

 そのソーヤ君は数名の男の人とお話をしています。


「それでは、また何かあればいつでも連絡をくれればいい」

「はい、色々お話ありがとうございました。ところで、今のアーチェはその、神力とやらは漏れませんか?」

「ああ、あれくらいなら、真横にでもいかない限り大丈夫だろう」


 なんでもお兄様の同業者?の方でお見送りにこられらようです。


「そ、それでだね、もし良ければでいいんだけど、彼女の髪を数センチで構わない、頂けないだろうか?」

「ああ、それくらいなら。アーチェちょっとお前の髪もらっていいか?」


 ソーヤ君がアーチェさんから髪を何本かもらっています。

 その髪は、アーチェさんから離れると同時、虹色に輝きだします。とても綺麗です。どういう原理なのでしょう?

 私の知識はテレビでしか得られていません。私の知らないことが世界にはまだまだいっぱいあるようです!とても楽しみです!


「おお、おお、これは神器に匹敵する!これは、とてつもない神力だ!」

「彼女は大妖怪か何かなのか!」

「なんで妖怪なのよ!失礼しちゃうわね!」

「ほんとにな、妖怪さんに失礼だよな・あだだだ」


 ソーヤ君がアーチェさんにつねられています。

 あの二人はほんとうに仲がいいなあ。とっても羨ましいです。

 ずっと病院暮らしだった私なんか、親友はおろか、友達すら居ません。


「あれ?ミクちゃん、だったかな?どうしたの涙なんか流して」


 ソーヤ君が私のほう見てそう言ってきます。

 私ははっとして手を顔にあてます。そこには確かに私の目から涙が流れていました。


「あっ、すいません。ソーヤ君とアーチェさんを見てたらなんか羨ましくなっちゃって…私、ずっと病院暮らしだったもので友達すらいなくて…」

「何言ってるの!いるじゃない友達!私達もう友達よねっ!ねっ、クラリッサ!」

「はい、ミク様もカリンも私の友達です」


 花梨ちゃん、クラリッサさん…ありがとう!二人とも私が目を覚ましてからいろいろお話に付き合ってくれたよね。

 うん、私、もう友達が居たんだ!


「また、泣いてるー、ほんとミクって泣き虫だよねー」

「ミク様、これをどうぞ」


 クラリッサさんがハンカチを差し出してきます。


「だめクラリッサ、友達は様付けで呼んじゃだめなの!」

「ああ、そうでしたね。ミク、私が拭いてあげます」


 ああ、私は今、人生で最高の瞬間を迎えているのかもしれない。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 あの3人、ほんと仲良くなってるなぁ。

 花梨ちゃんはあれだな、ほんと誰にでも垣根なく接する事ができてとてもいい子だな。

 暗くなりそうな雰囲気を吹き飛ばしてくれる、ほんと貴重な子かもしれない。


「そうよ、私は国では聖女と呼ばれているのよ!妖怪なんてとんでもない!私が東の聖女、あっちのクラリッサが西の聖女よ!」


 アーチェが陰陽師のお方たちとお話をしている。

 また変な設定つくってんなあ。


「おい、そろそろゲートに向かわないと時間がくるぞ」


 オレは皆に集まるよう合図を送る。


「おお、間に合った!はあ、はぁ」


 そこへデパートの社長さんとその秘書さんが駆け込んできた。


「あ、見送りですか?ありがとうございます」

「それもあるがね、これを君達に…また増えてるな」


 社長さんが迷宮幼女に目を向けている。


「ふむ、3歳ぐらいか…ベビー服か…」


 そうしてなんか考え込んでいらっしゃる。


「なんなのじゃこやつ」

「この人がねー、なんかぱしゃぱしゃさしてあげるとお金をくれるんだよー」

「なんじゃと!即刻ぱしゃぱしゃするのじゃ!」


 オレは秘書さんが考え込んでいる社長さんの代わりに渡してくれた袋の中身を見る。

 これは?


「最新のデザインを施した洋服です。ぜひ宣伝と思って持ち帰り、常着にしていただければと思いまして」


 それはありがたい。

 まだまだ服は必要だからな。

 特にシュリのは特注も特注になるし。


「あと、秋冬にはまた、服を贈らせていただきますわ。そちらの妖精さんの分も勿論」


 そう言って鳥に変身しているシュリの頭をなでる。

 秘書さんはシュリの事が随分気に入ったようだ。


「ヴァレリーさん、来週にもまた、この子を連れてきてもらえないだろうか?」

「そうですわね、どうしますか?」

「えっ、また来週来れるの!?やったぁあ!」


 えっ、来週も!?それってそこの幼女だけでいいんだよね?


「おねえちゃん、とうきょうってもっといっぱいお店あるんだよね?」

「はい、来週は私がご案内さしあげます。頬がとろけるスイーツコースが宜しいですか?」

「ほんとに!やったぁ!」


「ねえねえ、コレ見て!世界最大級の遊園地だって!」

「ほうほう、雲までそびえるタワーでおじゃるか」


 もはや全員が次のスケジュールを練っているでござる。

 …オレが来ない、って選択肢は勿論ないんだろうなあ。

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