第37話 TOKYOスイーツ編スタート!
「パパが向こうの世界の支配者かあ…それってもう、並ばなくてもちょこくれーぷ食べほうだいってこと?」
「なんじゃと!ちょこ食べ放題じゃと!」
ちょこというフレーズを聞いて、迷宮幼女が飛び出してきた。
あとシュリ、支配はしないぞ、仮に支配しても並ばなくいいなんてことはない。
「ふむふむ、異世界に行ってちょこ食べ放題…じゃと!」
「うん、とーーってもおいしかったよー」
「ひどいのじゃ!わらわも食べたかったのじゃ!わらわはソーヤの為に身を粉にして働いていたというのに!」
…なにやってたお前?
「各地の迷宮に、オレ参上って書いたソーヤ彫像を」
「すぐさまとっぱらってこい!」
「イヤじゃ!わらわもちょこ食べたいのじゃ!今すぐ連れて行くのじゃ!」
今すぐっていっても、この時間じゃ店開いてないぞ。
ああ、コンビニなら開いてるか。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「うひょーっ、これはとても美味なのじゃ!」
「どれもこれもおいしいわねー。これがいつでも手に入るって異世界、最高じゃない!」
陰陽師のお兄様に早朝にコンビニまで走ってもらった。
しかもお金まで出してもらって。
「いや、すいません。こいつら食い意地はってて…お金はあとで必ずお返ししますんで」
「いえ、お金なんていいです。こう見えても製薬関係でライセンス料などを貰っていますので、お金には苦労してませんから」
むしろどんどん使ってくれて結構ですって言ってくる。
妹さんの件で自分に出来る限りの事はやらしてほしいと。
いいパシリを手に入れたなあ…でもね、そいつらのパシリやってるとその内、命に関わりますよ?
「あ、これとこれなんかお勧めですよ」
「ふむふむ、うぉぅ、なんともいえん味じゃ」
「手が止まらないわね」
そうか、ところでそろそろ寝たいんだが、もう寝ても大丈夫かね?
そう思って一眠りした訳だが…
目が覚めるとホテルの部屋の中がお菓子の袋だらけになっていた。
「おまえら…これ全部食べたのか?」
「いやーほんと止まらなくなっちゃって」
どんだけ入るんだ?お前らのお腹には異次元ホールでもあるのか?
聞いた話では一軒、コンビニを制覇したとか。営業妨害じゃね?
お兄様も止めてくださいよ。
お兄様は満足げにしている迷宮幼女の肩を揉んでいる。すっかり下僕状態。
しかし…
「…………なに?なんで私のお腹を掴むの?」
「いやなんとなく・あべしっ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「大丈夫、大丈夫!フェニックスになると痩せるから!」
「それはお前だけな、あとこっちの世界で元の姿に戻るの禁止な」
「えー!」
みなさんずいぶんとまるまるとなられて。
「だ、大丈夫でおじゃる。そ、そのぶん運動をすれば良いでおじゃる」
「気をつけよう、その一言が、命取り・ぶへらっ!」
オレに当たるなよ!お前らが食べ過ぎたのが悪いんだろ?
「大丈夫よ!今日一日ご飯を抜きにすればお腹もへこむ!」
などと言っていたのが…
「店主!メニューの上から順番に頼む!」
「時間が無いのにやめろよな」
空港のロビーに着いたとたんあちこちの食べ物や喫茶店を片っ端から巡っておいでだ。
「はいこれ、残りの子達のチケットね。それにしてもソーヤ君の知り合いってみんな可愛い子が多いわねー」
店長さんが迷宮幼女と陰陽師のご兄妹の飛行機のチケットを取ってきてくれた。
ファは既に転移魔法で村に戻ってもらっている。
「これはみんなでユニットでも組んだら最高よね!」
なんのユニットだよ?
「ソーヤ!」
迷宮幼女がオレの前に来て手を差し出してくる。その手はなんだよ?
「資金が欲しい!あそこにある、みやげもの、とやらを買って帰るのじゃ!」
なんでもみやげ物は持って帰って食べる風習とか聞いたらしく、その場で食べれないので買って帰りたいと。
「はい、これをどうぞ」
陰陽師のお兄さんがお金を迷宮幼女に手渡す。
あんまり甘やかしちゃダメですよ?
しかもそれ、万札が束なんですが、ダメです!一枚だけにしましょう。飛行機にもって入れないっすから。
「ソーヤはけちなのじゃ!それに引き換えこちらの兄上はふとっぱらなのじゃ!」
「ちゃんとお礼言っとけよ」
「うむ、よきにはからうのじゃ!なにかあったときはわらわの名前を呼ぶと良い!たちどころに馳せせんじよう!」
異世界までこれるのかよ?
「異世界で暮らせば問題はないのじゃ」
「やめろよな!つーか名前ってお前あったのか?」
「あるに決まっておろう!ソーヤはわらわのことを今までなんと呼んでおったというのじゃ?」
「ん?迷宮幼女」
「誰が幼女じゃ!」
いやどう見ても幼女だし。
「わらわの名は、望まれる誇り!忘れるでないぞ!」
まんまじゃねえか。
「それ迷宮名だろ?呼びにくいしほかのにしねえ?たとえばノゾミーとか」
「ソーヤのネーミングセンスは最悪なのじゃ」
「だってソーヤだもんねえ」
なんだよう。




