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第28話

「はあ?自力で戻る方法を見つけたの?しかもいつでも行き来できるってあんた…」


 テンコが呆れたように言ってくる。


「まずいのか?」

「どうかしらねえ…」

「まずいのではないでしょうか」


 そこへリューリューシアも顔を出す。


「ソーヤお兄様一人でさえ排除の為に私が生み出されました。それなのにこんな大勢引き連れては…」

「ま、まあ、すぐ帰るシー」

「大丈夫じゃない、あんたが許可すると思えば世界もそれに引きづられるでしょ。この世界とあなたは繋がっているのだから」


 どうかおねげえしますだリューシア様。


「仕方ありませんね」

「ありがてえ、あんたはぁ天使じゃあ」

「そのかわり、おやようとおやすみのキスを催促いたします」


 まあ、それくらいなら?


「あっ、それとクラリッサ、ここの聖女さんなんだが、向こうの世界で暮らすって言ってんだけど、そこんとこは大丈夫なの?」

「まあ、大丈夫なんじゃない?なるようにしかならないわよ」


 ああ、こいつに聞いたのが間違いだったか。

 なんかあったときの為に、最初の頃はなるべくクラリッサの近くに居るようにしたほうがいいな。


「どちらにせよ、あまり頻繁に行き来はしないほうがいいかもね」

「そうだな」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「はぁ…すごかったなあ結婚式…ねえソーヤ、私のときもあれくらい用意してよ」

「ん?どうかな、あれは特別に用意してくれたものだからなあ」


 結婚式も終わり、オレ達は神殿に一泊しているところだ。


「あそこでいいなら自由に使えるぞ」


 オレは窓から見える天空城を指差す。


「えっ、あれ立体映像かなにかじゃないの?えっ、ほんとうに浮いてるの!?」

「ああ、あそこがオレの今の住処だ。一応、城主?やってることになってる」

「ええっ!?」


 花梨ちゃんが驚いた顔を向けてくる。


「あれってソーヤのお城なの!すごいじゃない!今度つれてってよ!」

「ああ、そうだな…明日にでも見に行ってみるか?」

「えっ、でも明日は朝一で出発じゃないの?」


 そういやそうか、まあ、こっちにはいつでもこられるから今度でもいいか。


「でも良く見ると…和風よねえ…なんか世界観台無しっていうか」


 それはオレの所為じゃないぞ?


「それにしてもクラリッサ遅いね」


 クラリッサと大地さん、ヴァレリー姉さんとそのご家族は只今、別室にて今後のご相談中らしい。

 クラリッサ、たった数週間で英語までマスターして…出来る人は出来るもんだなあ。

 で、子供であるオレ達はこうして待っている訳だが。あ、ご来賓の方々はすでに船上にて帰還しております。


 と、ずいっと花梨ちゃんが顔を寄せてくる。


「んー、別にそんなかっこいいとは思わないのになー、どうしてモテるんだろね」

「…どうせオレはフツメンですよ」

「花梨なにしているの?」


 話が終わったのか開いてた入り口からぞろぞろと皆が戻ってくる。

 その中に一緒に居たクラリッサがなんか慌ててオレと花梨ちゃんの間に入ってい来る。


「もうクラリッサたらヤキモチ妬きすぎだよー。ちょっとソーヤの顔見てただけじゃない」

「えっ、ヤキモチだなんて、そんな…」


 ちらちらとこちらを見てくるクラリッサ。


「ほっほっほ、仲が良くてなによりですな。ソーヤ殿、例の件よろしく頼みますぞ」

「そっちもちゃんと剣聖さんおさえてといてよ。ほんと、誰も翻意なんて持ってないからね?」


 結局のところセイカの養子話はなしにしてもらった。

 代わりといってはなんだが、新帝国から数名研修生を受け入れることになった。

 リザレクションなどの魔法を覚えてもらって帰ってもらう予定だ。


 とはいえ、剣聖さんには随分目の敵にされていて、稽古という名目で会う度にぼこぼこにされておる。

 これもあれか?オレがこの世界に嫌われてる所為なのか?なにゆえこの世界の人々はオレに厳しいのだろうか。


「ソーヤありがとね。おかげで一生の思い出になりましたわ」


 そういって抱擁してくるヴァレリー姉さん。喜んでもらえてなによりです。

 うん、決してクラリッサを連れ帰るだけが理由じゃないですよ?


「それとクラリッサのことだけど…」


 クラリッサについては、ヴァレリー姉さんのご両親が養子に迎えるとのこと。

 ご両親には本当のことをお話して協力してもらうことにした。

 なんせ養子にしようにもピザすらない状況。はっきりいって不法滞在者であります。

 そこでご両親に相談したところ、世の中にはグレーゾーンなるものがあって、なんとかできない事も無いとか。


「それじゃあ、クラリッサのことよろしくお願いいたします」

『あらたまらなくても良くてよ。こんなに可愛い子なんてこっちからお願いしたいほどよ』

『そうだな、うん、うちのお転婆お姫様とは大違いだ』

『誰ですか、お転婆お姫様って!』


 夏があければ、花梨と一緒の中学に編入の予定まで取り付けてるそうだ。

 ヴァレリー姉さんのご一家はやることが早いなあ。


「ちょっと、ちょっとソーヤ!なんかあんたのお城燃えてるよ!」


 突然花梨ちゃんが天空城を指差しながらオレに言ってくる。

 良く見てみると、天守閣の辺りが真っ赤に燃えている。

 またなんかやらかしてるなあ。


「ああ、いつものことだから気にスンナ」

「え、いつものこと?え、どういうこと?」

「3日に一遍ぐらいは城が燃えるんだわー」

「えええっ!?」

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