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第25話

「セイカが剣聖様のお孫さん?」

「そうなのだ、実はな…」


 剣聖のおじいさんのお話では、クラリッサの先々代にあたる聖女の役割を担っていた人が、剣聖のおじいさんの娘さんだったらしい。

 で、その先々代の聖女さん、代替わりをして暫くして行方をくらませたとか。


「聖女は代替わりをした後、とても短命だ。そしてその遺体はお世辞にも綺麗とはいいきれん。なので、人知れず余命を過ごしますという書置きを残してな」


 ふむ、その後にセイカを身ごもり出産をしたと?だったらどうして剣聖さんの元にセイカを連れてこなかったのか?


「セイカは見ての通り才能の塊だ。およそ次の聖女になる資質を備えておる、連れ帰ればそうなる可能性が高い。なので、普通の人として暮らさせてやろうとの配慮だったのかもしれん」

「でも、それらは全て予想でしかないのでは?」


 と聞いたところ、神帝国には血筋を調べる魔道具があるとのことで、それを使って調べたところ、剣聖さんの血を引いていることが分かったのだと。


「ただ、それだけでは確たる証拠にはなりえん。なにせ祖先が同じ、というのはざらにあるからな」


 今回、セイカが剣聖さんの孫であると確信したのはもう一つ理由があるらしい。

 それは、その聖女さんが行方をくらませたと同時期に、若い騎士も一緒に居なくなった人がいたとか。

 年齢的に二回りは違うのでまさかそんなことは無いだろうと思ってはいたが、念のために調べたところ、その騎士さんの家系の血もセイカに流れている結果が現れた。


「わしの家系と、その騎士との家系で血が混ざった記録は残っておらん、そしてセイカから聞いた実の父親の話とその騎士の風貌が一致する」


 そりゃー確定的じゃないですかー。


「本来ならわしが身請けをしたいのだが…相手が帝王を名乗っている者ではわしでは釣り合いがとれぬのでな」


 誰が帝王なのよ?こっちでもそういう話が出回っているのぉ?


「そこで私が代わりに身請けをしようということになったのだ。剣聖殿と私は血縁の関係でもあるしな。皇帝の娘ならば文句はあるまい」


 剣聖さんは皇帝陛下の叔父にあたるとのこと。


「いやいや、釣り合いとかそんなのはいいから、その話、セイカには?」

「話はしてみたのだが…」

「自分の父はお主だけだとな」


 セイカは意固地なとこがあるからなあ。いやまて、


「クラリッサが聖女を降りた現状、もしセイカが皇帝陛下の養子となった場合」

「次の聖女はセイカが選ばれるであろうな」

「それはご両親に申し訳がたたないのではないだろうか」


 なんせ、聖女にしたくなかったから国へ戻らなかったんだろうし。


「その件については問題はないと踏んでおる」

「それはまたどうして」

「セイカの母である先々代の聖女が娘を聖女にしたがらなかったのは、その聖女の器、それを移すことにより代替わり後の体の問題があったからであろう」


 なるほど、今ならば、聖女の器を代替わりしたとしても、こないだ持ってきた魔石の原石、空石があれば普通に暮らしていける。


「そもそもセイカに、聖女の器は必要なかろうしな」


 そういえばそうだな。

 すでにセイカはこの国の聖女さん以上の魔力と力を備えている。

 リザレクションだって撃ち放題だ。

 わざわざ危険を犯して聖女の器を貰う必要はない。


「この話、どうかご一考願いたい」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「ただいまから家族会議を始めたいと思います」

「急にどうしたのよ?」


 オレはお城に戻り皆を集めることにした。

 アーチェ、麻呂姫、シュリ、八星の方達からは代表で委員長とその妹さん、勿論セイカも。

 そこでオレはセイカが神帝国の剣聖さんのお孫さんだったこと。

 神帝国の皇帝から養子として迎え入れたいと話があったことを伝えた。


「はんたい、はんたーい!セイカちゃんはシュリの大事な妹だよ」

「シュリお姉様!」

「私も反対よ。セイカちゃんは私達の大事な家族じゃない?それを今更どこの馬の骨とも分からない人に預けられる訳がないじゃない」

「アーチェお母様!」

「麻呂も反対でおじゃる。セイカとその実父を狙った者じゃが、アステリアで当時の履歴を調べたところ、他国のスパイの可能性が高い。セイカを聖女の娘と知っての狼藉だったのかもしれんでおじゃる」


 麻呂姫の反対案は、そんなスパイがいる可能性があるところに一人で住まわせるのには危険が大きすぎるとのこと。

 最低でも、セイカ達を襲ってきた黒幕が分かるまでは預けるべきでないと。

 これですでに過半数は反対となった訳だが。


「私は…なんとも申し上げられません。血の繋がりは切っても切れないもの、やはり実の家族というものはまた別の感情がおありだと思います。セイカ様のお心に添うことがもっとも重要なのではないでしょうか」


 委員長がそう言ってくる。

 委員長はほんとこういうとき、冷静な意見が出て頼りになるなあ。


「私は、賛成かな」


 皆の意見をぶった切って委員長の妹さんがそう言ってくる。


「よく、考えてみてよ。皇帝の娘だよ?女帝になれる可能性もあるんだよ?セイカちゃんを皇帝の養子にして…ゆくゆくは神帝国をお兄様のものと…」


 なんてこと考えてるのこの子!やめてよ!どこに耳があるか分からないんだよ!そんなこと言っちゃダメ!そんな噂たった日にゃ、またぞろアサシンさんからおはようの挨拶が始まるじゃないか!

 セイカは委員長の妹さんの話を聞いて考え込み、


「お父様、私が神帝国、獲ってきたら褒めていただけますか?」


 あかん!これはあかん!セイカの養子の件はすっぱり断ろう。

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